すーてき散人空の紙

北陸発、テキスト偏重、テーマは原則その時々、気分次第の旬刊ないし月刊、あるいはときどき不定期刊のブログです。

<span itemprop="headline">追加 焼酎ネーミング《22》 雲海</span>

追加 焼酎ネーミング《22》雲海

どうにも熱い、焼酎ネーミングシリーズ22

自然界の四大要素、空山雲
バラシて再編

◆雲海(うんかい)
(宮崎・雲海酒造、そば)



 シリーズ≪21≫で空山~とくれば、あれっ雲海はどうした? と尋ねたくなりますな。

 空山~が大分県麦焼酎なら、雲海はご存知の通り宮崎県産そば焼酎。隣県同士で材料も違えて、うまく棲み分けてますな。ここは、これをいったんバラシてみましょう。


 空・山・雲・海はそれぞれが、眺望する人を気宇壮大な気分にしてくれる、まさに自然界の四大要素。が、要素同士の組み合わせ次第で、相手次第で、すばらしい連想を呼んでくれもすれば、熟慮と熟考を要する場合、首を傾げざるを得ない場合も出てくる‥。

まずは、うれしい組み合わせから。

●ざっと1200年の時空をえても、数十世代をはるかに超えても、ずっーと世間あまねく敬慕され、崇敬されているとなると、この人以外にありません。イチ押シのナンバーワンでしょう。

空海】(弘法大師
 修行中の四国・室戸岬で明星の光が口中に飛び込んできて、悟りを得たとか。岬の修行でひたすら空と海を眺め続けてきたから、目の前には空と海しかなかったから、「空海」と名を改めた、とされています。

 同行二人【どうぎょう・ににん】は、同じ修行を空海さん、呼び方を変えてあるいは大師さん、大師さまと一緒にしているという意味であって、決して、道連れのどうこうふたりを意味するのではありません、念のため。

 八十八霊場を巡る遍路の装束にこの4文字が書いてあるため、ついつい、どうこう、すなわち道連れと捉えがちですが、遍路旅は実は旅ではなく、修行なのです。修行だからどうぎょう、修行だから空海さんがいとわず常に修行者と一緒にいてくださるーーー。

 憂きこと多き人生は、これすべて修行ともいえます。だから、遍路修行の時だけでなく、人生修行も同行二人で歩む。【どうぎょうににん】であれば、憂きこと多き人生を歩むにも、心強いことこの上なし。こう、思いいましょう考えましょう。
 こんな同行二人の解釈が多少の拡大解釈であったとしても、大師さまは喜んで許してくださるのではないでしょうか。辛いのは遍路だけでない、生きていくのは辛いことだと、仰ってもらえるのではないでしょうか。

 大師という尊称は、仏教界に二十数人を数えるそうですが、たった2字、単に大師さんといえば弘法大師のことです。大師中の大師なんですな。
石川県白山市・旧鳥越村の弘法池をはじめ、大師が杖で大地を突くとこんこんと清水が湧き出たという伝説・伝承が全国各地に残っているが、これは、ひょっとして
「仏の法(のり,ことわり)を弘(ひろ)めた」という名前の例証のひとつかもしれませんな、時代のあとさきは別にして。
 三筆の一人に数えられるにもかかわらず、「弘法も筆の誤り」とまで民衆に親しまれるとなると、何かこう、大師に茶目っ気すら感じますな。

 富山県上市町の山間に「護摩堂」という地名があります。遙かいにしえ、弘法大師がこの地で護摩だきをしたからと伝わり、おそらく何度も何度も立て替えられてきたのでしょう、小さな立派な護摩堂がある、お堂脇にある清水には、今も、林道をくねくねと分け入ってやってきた水汲みの人が今も絶えません。地名の伝承、縁起をまとめた冊子も発刊されていて、地元ではわが国最古級の地名と信じてやむところがない。「護摩堂」という地名に、お堂にこもって修法する大師さんの姿がしのばれるようですな。

 なお、空海上人の幼名は真魚(まお)。ん? まおちゃんブームの元祖は、遠く古代、空海さん、いやいや大師さまでありましたか?


【雲海】
 昨今、天空の城がもてはやされてますな。一面の雲海に浮かぶ城跡、天守…。竹田城兵庫県)に始まって、近県では大野城福井県)、郡上八幡城(岐阜県)。大野城も八幡城も行ったことがあるけれど、折悪しく天空の城には全く出くわさなかった。まさか天空の城であったとは思いもしませんでしたな。
雲か、霧か、霞か、靄かはともあれ、朝夕晩の水蒸気が誘発する自然現象、風景は、はたして一年に何度くらい現出するのでしょうか。今からでも雲海に包まれる城の姿に遭遇してみたい。

 【海雲】
 十数年前に、ベトナムのハイバン峠から見た南シナ海ロングビーチの光景、一面の青い空と沸き立つ白い雲を思い出しますな。ベトナムをほぼ北と南に分ける峠の名がハイバン峠で、ダナンと古都フエの真ん中あたりに位置する。

 漢字で書くと「海雲峠」。地名のイメージどうり、標高496㍍の高所にあって、長い山道を上ってきたバス旅には絶好の休憩ポイント。バスが停車するたびにタバコやビールの売り子が駆け寄ってくる。資本主義の原理を導入したドイモイ政策を取り入れてまだまもない頃で、絶景の地もまだ貧しかった。

 峠はまた、植民地を脱すべく戦った宗主国フランス軍との戦闘の地でもあり、砦のレンガ壁には無数の弾痕が残っていた。青海白雲のハイバン峠(海雲峠)は、平和な絶景と戦闘の痕跡を併せ持つ峠でもありました。


【海空】
 陸はなくても、昨今は集団的自衛権という言葉を連想しますな。あまり使いたくない言葉ですな。それにしても、「戦争法案」だとツッコミを入れられる法案が、国会提出の議案名が「平和安全法制」とはこれいかに。まるで水と油どころか+と-、N極とS極。してみると「安保法制」という略称は、両極端の中間あたりをとったものでしょうか? 
 法案は同じ内容なのに、片方で戦争だと、片方で平和だと言う。
この真逆、この距離感、この矛盾。これを解釈するに、「現行憲法下での拡大解釈にも限度がある、どだい無理だ」、ということですな。「何なら、日本国憲法を変えてから堂々、法案提出を」、ということですな。
 「積極的平和主義」の言葉も実に危なっかしい発想の言葉ですな。冷戦時代のバランス・オブ・パワーとさも似たり。

【山海】
 珍味という二字熟語しか続かないでしょう、酒飲みには。

 既掲載は、
(シリーズ21
◆空山独酌)
(シリーズ20◆発◆独奏会りさいたる)
(シリーズ19◆那由多の刻◆欧羅火)
(シリーズ18◆えじゃのん おんぼらぁと◆次郎冠者)
(シリーズ17◆はげあたま◆河童の誘い水)
(シリーズ16◆おやっとさあ◆いつもの奴)
(シリーズ15◆ハナタレ◆不二才(ぶにせ))
(シリーズ14◆青木昆陽、利右衛門◆佐藤)
  (シリーズ13◆小松帯刀◆鉄幹)
(シリーズ12◆さそり◆もぐら)
(シリーズ11◆天魔の雫◆知心剣
(シリーズ10◆天孫降臨◆不阿羅王)
(シリーズ9◆晴耕雨読◆おやじの誇り) 
  (シリーズ8◆この地に天使が舞い降りた。 天使のささやき 恋あじ◆両思ひ)
(シリーズ7◆今も昔も焼酎は、西、岩倉 月の中◆二階堂 吉四六
  (シリーズ6◆虎の涙◆蔵人の戯れ)
(シリーズ5◆いも神◆元祖やきいも)
(シリーズ4◆魔女からの贈りもの 魔法のくちづけ◆うわさのいい夫婦)
(シリーズ3◆百年の孤独◆問わず語らず名も無き焼酎)
(シリーズ2◆銀座のすずめ◆とんぼの昼寝)
(シリーズ1◆六地蔵の夜仕事◆我伝直伝)

この辺で、きょうはこれにて。