<span itemprop="headline">焼酎ネーミングシリーズ《43》 日本の夏、くじら</span>
夏の終わりにどこの家庭でもお世話になったはずの蚊取線香を、いやいや、酒のおいしくなる秋の始まりに鯨飲(馬食)とならぬよう自戒を込めて鯨を、取り上げる。共通項は画面いっぱいの純朴なラベル絵。字が無い!。
◆日本の夏焼酎
(大分県、老松酒造、芋・麦)
● なんだこれは! こんなラベル有りか?
大事な商品をアピールする画面に描かれているのは
何の変哲もない、ごくごくありきたりの蚊取線香!、のみ!
びっくりどっきりの焼酎の“顔”である
が、上方のサブラベルをよ~く見ると
何やら字があり、「日本の夏焼酎」と。
画面の絵と、サブラベルの字。そうかそういうことか、
この判じ物、解けるには解けたけど、遊びすぎだな。
◆ 想起せよ、蚊取線香の名文句を
渦巻きが「金鳥の夏!」とほえれば
打ち上げ花火が「日本の夏!」と答える
さながら往年の歌謡曲「二人は若い」の世界ですな
♪あなたと呼べば、♪あなたと答える~~、、
ただし、往年の二人も今や老境に至れり
♪「お~い」と呼べば、♪「なにさ」と答える
ぶっきらぼうに、しかも初々しさはとうに消えた
お酒も糖質を避けて蒸留酒にシフトしたとかや、健康のため。
それにしても、「金鳥の夏、日本の夏」とは
失礼ながら、大きく出たもんですな
わずか8字をきっちり、4字ずつに分けて
畏れ多くも畏くも……「金鳥」「日本」並立関係に。
大日本除虫菊という株式会社名は知らなくても
ドドーンと花火があがれば、
ついつい口に出る、「金鳥の夏~、日本の夏~」
けだし、稀代の名キャッチコピーですな。
鶏冠(とさか)はまぶしい金色
煙草のゴールデンバットと同じで
殺虫剤業界の金冠めざす
創業者の決意の象徴なんでしょうな。
働き者のクロアリ押しのけて
外来の厄介者こそはびこるのかな
最近の怖いものに「火蟻(ひあり)」あり、
「除虫」、殺虫の効果に期待しましょ。
◆くじらのボトル
(鹿児島県、大海酒造、芋)
◆ いさましい+さかな=いさな。
勇魚と書いて「いさな」と読むとかや
古語で、くじらのことである。
でも、この2字からは、海面を尾がひとたたきすれば、船の一隻や二隻はひっくりかえりそうな、海棲哺乳動物のスケールが彷彿とはしてきませんな。
一字違いの「いさざ」という小魚もいるしな。
ぴちぴち跳ねるのをいただく「躍り食い」で知られる
「いさな」と「いさざ」。
音感の似た者同士が、巨大と極小の対極とはこれいかに?
◆ 「いさな」もとい、丹精の銘柄「くじら」をアピールすべく
蔵元がラベル画面にど~んと置いたのは、ご覧の通りの絵。
歯をむき出しにして、笑っているのか、今から鯨飲(馬食)にかかるのか
あふれる茶目っ気に親近感も湧いて、まさに “絵に勝る雄弁なし” ですな。
◆ わが国の捕鯨は、和歌山県太地町に発祥し(古式捕鯨)、
高知や山口などの“鯨どころ”も有名。
沿岸捕鯨、船団方式による遠洋捕鯨と発展、拡大した。
今は昔、あぁ球団「大洋ホエールズ」の頃が懐かしい。
縄文の真脇遺跡は、小型鯨類のイルカ漁で繁栄した「イルカ村」だった。
大陸には陸の動物タンパクが支えた「陸の文化」があり、
海に囲まれた国には、海の動物タンパクが支えた「捕鯨の文化」があった。
陸海問わず、相互に、敬意とともに感謝せねば。
◆それにしても、くじらは、なぜ魚へんに京なのか。
スパコン「京(けい)」が登場してきたとき、直観しました。
億がゼロ8個、兆が12個なら、さらに上のゼロ16個、それが京であったな、と。
そうか、途方もないスケールが「京」なのだ。イメージ的に鯨と書く所以、わからぬでもないな。
また、一頭とれれば、七浦を潤す。七つもの漁村を一挙に豊かにするとも。
してみると、図体も恩恵も「京(けい)サイズの魚」、それが「鯨」という会意文字なのだ。
こう解釈すると、字面ひとつから世間が、社会が見えてくる。
ちなみに、(クジラ+ゴリラ)÷2=ゴジラ 。
ハリウッド映画で、MLBで、日本産の怪獣、怪物ともによくぞ活躍してくれました。記憶に新しい痛快事です。
きょうは、これにて。
ポパイに、ほうれん草
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