すーてき散人空の紙

北陸発、テキスト偏重、テーマは原則その時々、気分次第の旬刊ないし月刊、あるいはときどき不定期刊のブログです。

<span itemprop="headline">焼酎ネーミングシリーズ《44》 良い夜サ酔い夜サ、のみよし </span>

 芋焼酎といえば、なんといってもまずはサツマイモだが、やはり娑婆は広い。北陸にはなんと、意外にも里いも焼酎があり、さらには稀少な丸いも焼酎まである…。

 ◆良い夜サ酔い夜サ
富山県南砺市、里芋、玉泉堂酒造)

♪ヨイヤサ ♪ヨイヤサ
遠くから段々、祭りの声が近づいてくらぁ
♪ヨイヤサ ヨイヤサ ♪ヨイヤサ ヨイヤサ
南砺・福野の夜高祭り

夜ふけて
灯りはあかあかと揺れを増し
曳き手にお神酒がまわるころ
下の山車がぶつかりだす
ええ、昔はなかなか物騒な祭り見物でした

そんな祭りのにぎわいを聞きながら
南砺特産を仕込んだ里いも焼酎をちびりちびり。 ♪肴はさといも田楽でいい~、
「良い夜サ、酔い夜サ」がいい~なんて。
それにしても [上手くて旨い字]を当てたもんです。

 ● ここらで祭りのかけ声の考察
東京弁にして標準語、全国共通のわっしょいわっしょいなんて、なんか薄味で物足りませんな。
その点、地方の掛け声のこくのあること。
実は、砺波、福野、庄川、津沢など、砺波平野は
そろいもそろって♪ヨイヤサ ヨイヤサ。
ヨイヤサの宝庫なのですな。
ただ、高岡伏木の「けんか山」は不思議なことに、ヨの一字抜けの
♪イヤサー イヤサー」なんですな。
富山県内の、穀倉の村々と古く舟運の町でこの違い、
どうしてこうなったのだ?

同じ行燈祭りの範疇に入る、青森ねぶた祭りの掛け声は、
つとに有名な「♪ラッセラー ラッセラー」。
まさかラッセル車とは関係ありますまい(冗談)
ラッセラーの由縁、語源知りたく思います。
と、青森ねぶた(B)と弘前ねぷた(P)、こちらの違いも謎ですな。
土着ならではの謎。作られた観光祭りもいいけれど、やはり土着の祭りの方がいい。



 ◆のみよし
(石川県能美市、宮本酒造店、丸芋)


 ♪芋にもいろいろありまして、 サツマにジャガイモ、サトのイモ〜


芋は芋でも丸芋は〜〜♪

懐かしの宴会ソング、 松ノ木小唄の替え歌にのせて
並みいるイモに負けるなとばかりに
加賀丸芋」が芋焼酎戦線に参入したとか
その風貌のたくましいこと
こぶし大ほどの丸芋はほとんどが、
ゴツンゴツンのデコンボコン
ツルッと丸いのは、稀れも稀れ。

産地は手取川扇状地、能美、小松、川北の近辺 戦国の世、柴田勝家率いる織田軍
上杉謙信の軍勢が衝突した「手取川の合戦」の一帯

川筋定まらぬ暴れ川の砂利、石ころにもまれ、
あっちに転がりこっちにぶつかり
泥土の少ない土質ゆえに「ツル丸」になる暇なんぞなかったと思われる。
山芋、自然薯を遙かにしのぐ粘性を
加賀丸芋はそうして獲得した、
そうとしか思えないのです。

デコンボコンの由縁を讃えて
実直武骨な風貌を称えて
手取川丸芋」の尊称を差し上げたいくらい。。

「のみよし」は、能美良いところのお国自慢と
呑み良いの、掛け言葉にして“盛り言葉”
に違いない。かけ+もりの忖度気分ですな。 かけ、もりは年越しそばで十分堪能しました。


 きょうはこれにて。
  ポパイに、ほうれん草
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 (了)