333は元気か
●どっこいまだまだ東京タワー
●東京みやげに感涙
●634に負けるな333
◇ 東京の代名詞と言えば―、
高さ634だもんな、
武蔵の国の世界一だもんな、
だから当然、スカイツリーだと思っていた―。
◇反
面、気にはなっていた。
かつて摩天を誇った東京タワーは、
333は元気かと。
ちやほやされなくなって、
その身を縮めているのでは。
北陸の地から心配してました。
全然違ってましたな。
余計な心配でしたな。
頂戴した東京土産の包装紙で、ひと安心しました。
●『東京に行ってきました。』(写真)。
タワーの横に大きい活字が躍っている。
「東京とはわしのことじゃ、
東京タワーのことじゃ」と言っている。
そうか、過去形動詞の文章がそのまま商品名であったかと。
●もう一つは『THE BEST CITY LANDMARK』(写真)。
東
京に目印いろいろあっても、
東京タワーがベストだと宣言している。
控えめな位置でサブタイトルがそう主張している。
スカイツリーは視界に入ってません!??
東京都心に超高層ビルが林立し、
放送電波がアナログからデジタル方式に変わったけれど
東京タワーの態度、主張変わりなし。
よくよく考えれば、すごいことですな。
半世紀余を振り返っても、いいネーミング、いい商標登録だったと言えそう。
634と333。身の丈段違いのさま、
ベテランの漫才コンビに似たり、かな。
二者並立 でちょうどいい。
きょうは、これにて。
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焼酎ネーミングシリーズ≪47≫「うまいがいね」
ヤーコンの焼酎とは、これは珍しい。南米アンデス原産のキク科根菜が、一般に知られるようになってまだ20年ほど。先輩のジャガイモやトマトに比べればまだまだデビューしたてのはずなのに、はやばや焼酎登場とは。さすが健康野菜の貫禄ですな。
●●うまいがいね
(石川県野々市市、JAののいち販売、ヤーコン)
Yaconの綴りそのまま、ヤコンでは
右近の橘にならい吉祥の字で「弥近」
たまさか農協系スーパーで見つけたけれど、「うまいがいね」というネーミングは、さてどんなもんでしょう。ニュアンス微妙、以下は若干の考察…。
ケース1 ◆案外、意外
正直なところあまり期待してなかったんだよな。そもそもヤーコンなんて名前、あまり聞いたことなかったし、もちろん食べたことがない。それがいきなりヤーコン焼酎だもんな。酒としていけるんだかいけないんだか??
ん?「意外と」うまいじゃないか。この焼酎、「案外」いけるぞ。時代劇の密談セリフ風に言うと、「野々市屋(JA)、お主もなかなか≪やる≫よのう」。≪ワル≫とそしるのではないぞ、声ひそめつつもまずは称賛しているのである。お主、よくぞ焼酎にしてくれたと感謝の、ネーミング。
ケース2◆案の定、やはり
ヤーコンは、いまや金沢の隣り、野々市の特産になりつつある。農協にヤーコン部会まである。食べて体にいい食物が、焼酎にしても美味しいはず……と思いつつ、狙い定めて県外の蒸留施設に焼酎化を依頼した。恐る恐る、おっかなびっくり、いやいやまんずまんず……。
仕上がったのを口に含み舌先に転がしてみたら……。???でスタートしたけれど、!!!の出来。手前味噌ならぬ、手前焼酎でした。作った側がいうのもなんだけど、その時の感想がそのまま商品名になった。「うまいがいね」でネーミング即決したんですな。
(ほんとにホント?)
●● それにしても、ヤーコンという野菜の名のややこしさよ。「コン名前」を思いつくまま列挙してみるとー。
♪ヤーコン、ヤーコン続けて―
カーコン(車修繕カーコンビニ)、
トーコン(闘魂、あのプロレスラー)、
ノーコン(野球用語、ノーコントロール、制球難の投手)
ゼネコン(ゼネラルコントラクター、大手総合建設業)
パソコン、スパコン、ポケコン、ファミコン(コンピューター系)、
ラジコン、リモコン、エアコン(コントロール系)
ロリコン、マザコン、ファザコン(心理学用語)
シネコン(シネマ複合施設)
ツアコン(ツアーコンダクター)
合コン(婚活関連、合同コンパ)、ベーコン(食肉加工品)、ビーコン(探査用電波発信機、登山時に有効)etc
日本人はスゴイですな。なんでもかんでも4文字に短縮し、さまざまな「コン」を器用に間違えもせず使い分けている。
されど、これだけコンが多いと紛らわしいのも事実。ヤーコンと初めて聞いたとき、えっヤーサン?と思わず耳を疑いました。まさかヤーコンがアンデス原産の根菜の一種とは思いもしなかったな。
ヤーコンは「Yacon」と綴るそうだ。ならば綴りを生かし「ヤコン」としてはいかがか。商品名なら、内裏の左近の桜、右近の橘になぞらえて、漢字には弥栄を願いつつ「弥近」とあてたい。
弥は吉祥の言葉。ボトルのラベルに「弥近」とあれば、近々なんか良いことありそうな予感もしてくる。盆正月、慶事一般、ついでに健康にもいいと思うけどなぁ。
きょうは、これにて。
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焼酎ネーミングシリーズ≪46≫ ど黒
焼酎ネーミングシリーズ≪46≫
◇ど黒(佐賀県、光武酒造場、芋)
〇骨ヘン旧字の凄み髑髏杯
〇隠し通せぬ「真っ黒」もある
ど黒? どくろ! 髑髏ですか!
ついに出て来ましたか。久しく忘れていた、凶々しい単語。よりによって、この焼酎ネーミングシリーズに登場ですか。かないまへんな。
ラベル(写真)を見ると、黒の字は愛嬌のあるどくろの象形文字風で、憎めない感じがするのに。
そもそも、♪ほねほねロック~と歌うのはかわいげがあった。が、漢字で骨となると俄然、状況が変わってきますな。
ほねほねからスタートして、
♪骨まで~骨まで愛して~ときた日には、眉に唾つけ、演歌の情緒もへったくれもないなと。それが大ヒットしたから、世間は摩訶不思議と痛感したもんです。
時の
総理大臣が国会で、「骨太の方針」を連発した時には、赤じゅうたんで骨? 国会には国会の品格があろうに、ほかに言葉はなかったの? 政権替われど引き継がれて今も国会中継で耳にする。市井どころか施政の用語として、骨太は定着したようですな。
まっ、骨ヘンよりはいいか。
かつて体育は「體育」と書いた。「骨
豊か」という会意文字が「体」であるとは。まるで“骨肉相食んだ”その結果を指しているようで、いささか滑稽でもあります。から
だとは「人の本(もと)なり」の方が的を射てますな。
これが骨ヘンの二字続き、「髑髏」となるとー。
おどろおどろしい「髑髏杯」にたどり着く。
敵将の頭蓋骨を金泥を漆で塗り固め、酒器として織田信長は酒宴で披露した。『信長公記』などによると浅井長政、朝倉義景ら三人の首。画数の多い骨ヘン旧字、髑髏の凄みがすごい。対立すれば果ては髑髏杯か。家臣は忠義を尽くすのみですな。
ヨーロッパでは酒器のほか、ボールがわりにもなった。一説にサッカーの起源は兵士がつかの間しゃれこうべ(晒れ頭)を蹴って遊んだことからとか。単純明快な本能の競技ゆえに、サッカーは戦争代替のスポーツと言われるのでしょうな。
さて本題の「ど黒」について。
数十回にわたりこの焼酎ネーミングシリーズを、コツコツと書いてきたおかげですぐ分かりましたな。
ハイ、「ど黒」は黒麹仕込みの芋焼酎をアピールするあまりの名付けであると。♪ド~はど真ん中のど~の要領で、黒も黒、真正の黒がど黒。何しろ昨今は白麹よりも黄麹よりも黒麹が人気ですから。
ちなみに、かけ・もり財務省答弁、日大反則タックル会見などは、「ど黒」ではなく、「真っ黒」の範疇と思われます。白地で隠そうにもその下に真っ黒が透けて見えますと。
それにしても「とりあえず否認」事件が多くなりましたな。偉い層ほどそう。道徳上「どえらい」ことですぞ。ど黒ボトルを眺めつつ。
きょうはこれにて。
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「ラーメン戦隊8レンジャー」高岡に
○8色そろえ、完遂にリスペクト
○ラーメン戦隊8レンジャー、高岡に
● ラーメンの色が、揃いもそろった実に8色、でR。
赤橙黄緑青藍紫のレインボーより一つ多いな。
七色仮面もきっとびっくりだな。
赤青黄桃緑と、5色の「秘密戦隊ゴレンジャー」はみな真っ青だろうな。
でも、エイトマンだけは、初めて8の同志を迎えて、にんまりかな。
7、5、8。ヒーローの競い合いも大変だ(>オヌシ、古いな)。
さはあれど、8色、8鉢のラーメン出現に賭けた執心と執着、貫徹と完遂(>かん水と懸けたつもり)の精神に敬意を表さねば。リスペクトします。
● 写真にある通り、正式名称は『富山ご当地カラーラーメン』というらしいが、う〜む、ちと長いな、ちとストレート麪に過ぎるな。ここは縮れ麺のスープのノリの良さにならって、ちとひねりを利かせて、ニックネーム「ラーメン戦隊8レンジャー」というのはいかがじゃろ。
● いただくのは、まず子供のハートから。そうなりゃ、ついでに大人も釣れる。子連れ、孫連れ、家族連れ…広範に顧客が頂ける。そのうちラーメンマニアもやってくるはず。
ちなみにネット検索してみたら、秘密戦隊シリーズは1975年のゴレンジャーを皮切りに、記憶にあるだけでもバイオマンにダイナマン、チェンジマンなどなど……と連綿続いているらしい。ということは、子も親もシニア世代も、みーんな5色の戦士シリーズで育っている、育ってきたということ。ならばなおのこと、ラーメン戦隊8レンジャーのニックネームを、ぜひにと進呈申し上げたい。フ~。
● これら、ラーメン戦隊の幟(のぼり)出くわしたのは、高岡市の旧国道8号(>またも8、ですぞ)沿いの道の駅「万葉の里」で。思いもかけぬインパクトについついスマホを取り出したのでした。
遅まきながら、メニューを参考にラーメン戦隊8レンジャーの秘密を、幟の並び順したがって紹介してみよう。(実は、ふるさと振興のつもりなのです)。
▼富山ブラックらーめん・・煮干し、鰹ぶしの風味が際立つ黒醤油スープ。ご存じ、知名度ナンバーワン、全国ツーカーのラーメン。胡椒ももちろんブラックペッパーで。
▼レッドらーめん・・黒のあるところ必ず赤がある対照の妙。スープはトマト風味のマ
イルドな辛さが身上とか。
▼高岡グリーンらーめん・・野菜代表にほうれん草をセレクト。塩ベースにほうれん草のペーストを使用。
▼高岡イエローらーめん・・黄とくればやはりターメリック。塩ベースのカレー味だそう、肉みそ、レモン、ポテトで味の変化を楽しめるとか。
▼小矢部ホワイトらーめん・・豚骨白湯スープにごま油がアクセント。白湯にプラスして稲葉山牧場産の牛乳も入っている?入っていない?。
▼入善ブラウンらーめん・・・白えびの天ぷらがトッピングされた、えび味噌ラーメン。
▼桃色らーめん・・・ピンクとは言うまい、古式ゆかしく桃色。生姜が利いたチャンポン麺の味。たらこのふりかけが味のアクセントとか。♪♪ターラコ、ターラコ のCMが思い出されてどうもいけね。
▼グレーらーめん・・・ピリッと山椒が利いた黒ごま担々麺。
つごう8回は通いましょう。
● 実は連休後に関東から二人連れの客人あり。金沢滞在の締めに、世界一美しいスターバックス富山還水公園店に行きたいと希望あって、金沢から富山への途中、高岡に寄った。事後おもむろにブログ記事を書いたはいいが、8色のラーメン戦隊だけで1000字を軽く超えてしまった。長々1400字。「B級グルメ」の力おそるべし。よ~延びる伸びる。
はて、10色ラーメンの余地あるのかな?
老麺、拉麺、柳麺いずこ、支那そば、中華そばの看板ごくまれに。
#らーめん #中華そば
きょうは、これにて。
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ブログ2段階引越作戦、「大難渋」の記
〇「簡単」のはずが「大難渋」
〇ブログ2段階引っ越し、文系脳の挑戦
〇Yahoo⇒FC2⇒はてな
▼「すーてき散人」ブログ、この度はてなに引っ越してきました。
YahooからいったんFC2へ、さらにはてなブログへ。正直なところ大変、難渋しました。というわけで、ブログ引越し記念の第一弾を。
▼ コンピューターという機械の基本的な「しくみ」「からくり」をよくわかっていないまま、カタカナ用語の意味を逐一再確認したりしながらの難行苦行。文系の脳味噌が理系の思考にチャレンジしたような、ヴァーチャルな引越大作戦でしたな。
▼ そもそもは、「Yahooブログ」に書きためた百数十本の記事とその倍くらいの数の写真を、そっくり「はてなブログ」に移してほしいと、WEB事業者に外注依頼したんですな。が、ソフトに「請負はしていません、教授のみです」とつれない返事。
おまけに、WEBの世界でも引っ越しのハイシーズンがあるらしく、「仮に(教授を)引き受けたとしても2,3週間待ちになる」と、とても無理なよう。これが、自力引っ越しの始まりだったですな。
▼ ネット検索の結果、Yahooからはてなへ直接引越はできず、インポート、エクスポート両方の機能を持つFC2経由という、2段階引っ越ししか方法はないと分かった。で、あきらめかかった矢先、たったひとつ、ネット
の書き込みに
「意外に簡単だった」なんてあったもんだから、ついつい「ならば我も、やってみっか」。条件の一つは、途中FC2に一週間滞在すること。昭和の名歌謡「まつのき小唄」じゃないけれど「一週間に二度来い」すととん、というわけで、そうして、いよいよ、YahooからFC2、さらにはてなへ、2段階引っ越しの決意を固めたのでありました。
▼ いまこうして新しいブログ環境で、2段階引越体験記を書いているけれど、振り返ってみれば、しみじみ、浅慮無謀、素人果敢のトライ&エラーの繰り返しだったと思う。
一日に2時間から3時間モバイルパソコンを広げ、各ブログのヘルプやサポートを参照し、サポートセンターへメールで問い合わせもして……。 急遽、新たにメールアドレス、パスワードを3つ4つもひねり出し、オンラインヘルプをプリントアウトしようとして今度はプリンタのマニュアルも引っ張り出し……。
認証OK、登録完了、引っ越し完了のメールが小生の連絡用メルアドに届いたときには、まさに無上の喜び、満願成就の心地……でしたな、ほんと。
▼ 当初は記事や写真を、ひとつひとつコピー&ペーストを繰り返すと思っていたことからすれば、両方のアカウント操作ひとつでまとめて移入、移出できるとは、意外にも意外、びっくりでした。コンピューターの面白さにまた一つ触れたような。(やはり文系脳ですなぁ)
▼ 感得したことも。
「読書百遍、意自ずから通ず」は理系の本にもいえることだと。同じ箇所で何度もエラーを重ねていると、「あぁなんだ、こういうことだったのか」と直感するタイミングが来るんですな。発見でした。
▼ 肝心(本当は肝と腎)なこと忘れてました。
引越しのきっかけは、Yahooブログがシステム変更し写真優先、短文応答のSNS型へシフトすること。β版のページをみる限りそんな印象を受け、なんか居心地悪くなりそうで、ここらで環境を変えたくなったんですな―。
▼ 以下はまったくの余談。
人生来し方、何回引越しただろうか。学生時代、就職、転勤、結婚、また転勤、転勤…利用した引越業者いくつ?
アート引越センターは、電話賃十円玉の「そっと置きアイデア」と電話帳トップ掲載アイデアで急成長した、会社名を同業筆頭となるよう、(ア)+(音引き)からなるハイカラなイメージの「アート」を選んだ由。しかし、その後、その上狙いの「アーク」、さらには「アーイ」引越センターも名乗り出てきたんですな。
ところが、またその上が出てくるもので、これは実際に名刺をもらったけれど、社名か屋号か、「アーアーアー」。かぎ屋さんでしたけど、「アーアーアー〇〇センター」と。
ああ、必勝ネーミングさまざま、ですな。
▼ ともあれ、Yahooブログでのこれまでにありがとう、しばし滞在のFC2ブログに感謝、そして、はてなブログにはこれからよろしく。
ちなみに、Yahooでの訪問者数は、7796人でした。写真は最終日4月30日のスマホ画面です。ありがとうございました。
きょうは、これにて。
ポパイに、ほうれん草
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<span itemprop="headline">番外 大宅壮一文庫、お江戸上野広小路亭</span>
▽ついに、とうとう、大宅壮一文庫
▽ついつい、駅最寄り上野広小路亭
〇昨秋に続いてまたぞろ東京に所用があったのを幸い、ついでに、長年アタマの片隅に引っかかっていた所を訪ねてきた。これまで機会なく、いずれ、そのうち、いつか…と先延ばしにしてきた所。それが今回やっと実現した。こういうのも「宿願を果たした」、なんて言うんでしょうな。
◆大宅壮一文庫(世田谷区八幡山)
『一億総白痴化』、という言葉知ってまっか?
今から思うとアホなテレビ番組でしたな。♪野球するなら〜〜よよいのよい。ジャンケンで負けた方が脱いでいく、あるいは身につけたものを外していく。放送倫理という言葉が番組制作者の視野にあったものかどうか、ともかくコメディアンコンビが会場と一緒になってはやし立てるこの野球拳番組、結構な高視聴率をとったんですな。おもろうて、やがて悲しき…。
さながら妖刀一閃のごとく、当時のこんな世俗をたった6文字で斬
ったのが希代のジャーナリスト・評論家、大宅壮一翁。その造語が「一億総白痴化」でしたな。
わずかの主述6字に、世相への怒りと嘆き、そして時代の状況、主張までもがうかがえる、究極の短文による堂々の評論でしたな。
当初の20万冊から今は70万を優に超える冊数を収蔵する、一人のジャーナリストの遺志を継いだ雑誌の図書館。「大宅壮一文庫」の入館料は5百円でした。収蔵から検索、利用、管理、維持、運営まで…とっさにこの額で大丈夫?と思ったほど。
フロアを見回したところ、利用者はラフなスタイルの30代、40代が多く、フリー、非フリー、その他はともかく、みなさん時代を懸命に追うライター、記者、あるいは時代を調べようという人たちには違いない。
1階でパソコンに向かい記事検索中、2階で積み上げた週刊誌を閲覧中といろいろながら、勝手な私語を許さない張り詰めた空気の漂うスペースではありました。壁に飾られた大宅壮一翁のモノクロ写真が、年月と世代を超え、たまさか集った“後輩たち”を励ましているようでもありました。
小生も古びた週刊誌10数冊を積
み上げて、1階と2階を行ったり来たり在館2時間半。
つらつら考えてみるに、大宅壮一翁は、読み捨てられがちな数多の週刊誌、月刊誌等の記事を、時代の一面を捉えた「文献資料」「史料」と認識しアーカイブ(文庫)として残した、と言えるのではなかろうか。いわば名も無き書き手たちの所産を正当に評価した人だった。だからこそ、雑誌の図書館として今も存立している。
ここでふと思い出した。土の中から出てきた雑多な縄文土器を、その紋様、造形を「縄文の芸術」と讃美した岡本太郎を。
大宅壮一と岡本太郎、二人の共通項を強いて挙げるなら、分野、対象こそ違え「正当な評価者」ということ。 見過ごされ捨てられかねない所産を、大事な宝物として掬い上げた。
帰途、本八幡駅前のベーカリーで食した熱いカレーパンとコーヒーのうまかったこと、宿願を果たした一服でした。
○お江戸上野広小路亭(台東区上野)
交差点のビル壁面に大きな寄席文字が目を引く上野駅最寄りのこの寄席に、初めて入りました。鈴本演芸場とは競合するような近さ。
スリッパに履き替えて階上に上がってみると、マイクのなかった頃かくありなんと思われるほどのこじんまりとした舞台、高座があり、なんとも親近感を覚える寄席。ちょうどプログラムの半分が終わった「お仲入り」あとだったためか、半額の千円で入場。
演目は、小生の幼い頃、祖父が図体のでかいラジオから聞いていた浪曲、バランス芸の大神楽、そして、名調子とともにピシッバシッ張扇の音響く講談。プログラムを眺めてビックリ。すでに終了した落語の五席も、なんとみな女流演者。題して、新鋭女流花便り寄席だったとは。
古典芸能も女流の進出めざましく、広沢虎造の頃とは違うんだなと再認識。ステージが近いだけに迫力満点でありました。次、上野に来た時には、鈴本かな、広小路亭かな、さすが大衆の街・上野ではありました。
きょうは、これにて。
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(了)
<span itemprop="headline">焼酎ネーミングシリーズ≪45≫ 蟇目、夢想仙楽</span>
(鹿児島県、さつま無双、芋)
否が応でも、逆に注目
由緒正しき、弓道神事
● だでさえ読めぬ字が、斜めにゆがめて書いてあるから、「これは何か、模様か?」「なんという字だ?」という仕儀となる。その分、逆に注目してしまう。否が応でもボトルを手に取ってもらおう、そういうネーミングですな。
ヒキガエ
ルは「ひき蛙」と書くものと思っていたのに、「蟇(ひき)」の一字があったなんて…知りませなんだ。ならば今後は、小さなカエルには「蛙」、大きなカエルには「蟇」をあてようと思う。
● さはあれど「蟇」、とても嗜好品の名に当てる漢字とは思えません。ガマガエルやヒキガエルの風貌、闇夜の鳴き声を想像しただけで脳の摂食中枢が拒否反応を示しそう……。酒の売り上げに寄与する字とはとても思えませんな、ヒキはヒキでも「どん引き」のひき?
蟇の字面も芳しくない。同じ部首の「墓」の字がついてくる。「ゲゲゲの鬼太郎」の当初のタイトルは「墓場の鬼太郎」だったそうだし。であれば、墓場に棲息する大きな虫の代表が、蟇ということか知らん?
● ただ、唯一の救いは焼酎の名が「蟇目」(ひきめ)であること。蟇目となると、これは俄然、白昼、正々堂々と見得を切って登場してきていい。なにしろ、古武道の一つ、弓道界に由緒正しき、蟇目の神事がある。
矢の先端に小さな蕪ようのものをつけた鏑矢(かぶらや)。正面から見ると空気を通す小さな穴が二つ通っていて、これが蟇の目ん玉のように見えるから「蟇目」。
なぜ穴が貫通しているのか。いろいろ調べてみるに、放たれた矢の直進性確保のためはもちろん、それ以上に大事なのが、穴の気道通過により空気の振動音を発生せさせるのだとか。ビーン?orブーン?。
敵方小舟の上の扇めがけて、那須与一の射た鏑矢も、源平両軍に聞こえよとばかり音響かせて飛んだに違いない。つまり、蟇目は鏑矢のおかげで、由緒正しきハレの言葉となったと言っていい。鏑矢の形が今に残る由縁でもある。
蟇……味方に付ければ実に心強い生き物らしい。蟇に乗った石川五右衛門が火遁の術で証明している、講談の世界ではあるが。では、この段、ここらで幕引き。
◇夢想仙楽
(福岡県、光酒造、麦)
ああ、これすべて一酔夢譚
唐に渡った梅花の王の想い
● 何からなにまで、“唐チック”。四字熟語になっている焼酎の名から、ボトルを包む古色の絵柄、その人物の衣裳、そして五言絶句の漢詩まで、強く「唐風」が意識されてますな。ちらちら眺めれば、ほんと唐詩選の一つかと思ってしまいます。
渡唐梅花王
文化越波涛
夢想仙楽酒
西都太宰府
● この4行だけでは、脳裏に情景描けず、あまりに情報不足なので、ボトルの裏あたりの記述も参考にしてみたものの、それでもまだまだ…。で、時制を度外視して、かなりの勝手な拡大解釈、想像的解釈をしてみた。
かつてはるばる唐に渡った梅花の王ありました
文化というもの、無尽の波頭を越えて伝播する
人の世に夢に想い焦れた酒あり、酒を得て仙境を楽しみ、楽しんだ
ああ、唐でも京でもなかった、ここは西都太宰府だったーー。
● 蔵元は九州・福岡にあり、今も昔も西都・太宰府と口をついて出る。太宰府とくれば菅原道真、道真と来れば「東風吹かば匂い起こせよ梅の花 主なしとて春な忘れそ」。政争に敗れ左遷されたとはいえ、京の都へ恨みも未練も募る。そんな地の梅花の思いは遥か、大陸の唐へも飛び、彼の地の仙境に遊び、「仙薬」を得てつかのま仙術を楽しむ。
夢うつつ、これすべて一酔夢譚というべきかー。
さて、夢想仙楽、丹精した麦焼酎を、はるばる輸入したスペイン産シェリー酒の樽に五年貯蔵したとか。
東風吹かば 匂い起こせよ 梅の花〜〜
西風吹かば 香り来たれよ シェリーの香〜〜
かくて、洋の東西をワープの心地ぞする?
きょうはこれにて。
ポパイに、ほうれん草
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