すーてき散人空の紙

北陸発、テキスト偏重、テーマは原則その時々、気分次第の旬刊ないし月刊、あるいはときどき不定期刊のブログです。

<span itemprop="headline">焼酎ネーミングシリーズ《41》 青酎 赤狼</span>

青に赤は付き物。ん?信号機と思ったら、脇に黄もしっかり控えてました。ほかに黒、白、紅、紫も。人生いろいろ♪焼酎もいろいろ。今回取り上げたのは、青酎と赤狼。
青酎
(東京都、青ヶ島酒造、麦)


●東京には東京産の焼酎があったとは
意外や意外、全く知りませなんだ
ふらり入った酒の量販店で、
焼酎の棚に次々目を泳がせていくと、
青地のラベルが目立ってたんだな。

●アオチュウ? 青い焼酎?
手に取ったパッケージ裏の細かい字を追うと、
醸造元、東京都だと? 青ヶ島だと??
かつて青島だぁ~とテレビ画面にせり出してくる
放送作家青島幸男都知事の時代があったけど
都には青ヶ島村もあったのか

●♪~花の東京のど真ん中~
ぐるり回るは山手線(当時・やまのてせんではなく、やまてせんと読んだ)~♪
古い流行歌を引っ張り出して恐縮だが
都心から南へ海をぽーんと一跨ぎ、
八丈島からさらに50キロを一跨ぎ
絶海の孤島が「東京都青ヶ島村である

「都」と「村」が仲良く肩組むような
住所表記わずか7字
人口160と日本最少の自治体は
郡名無用のついでに番地も不要
まさに簡にして潔、まさに絶海のあっけらかん。
島民の、島民による、島民のための焼酎が、逆方向に大海原をジャンプして
焼酎市場にせり出してきた。
ピーカンのブルースカイのような
青酎」の味はさぞかし爽快…。

●行ってみたい憧れの島がまたできた
日本最南端の島=波照間島沖縄県八重山郡竹富町波照間)
次いで、今回焼酎の銘柄から知った
日本最少人口の自治体=東京都青ヶ島村
波照間は、名前がいいよな。間(マ)は古語で小さな入江、舟の出入りできる入江を意味すると習った記憶がある。
けだし、波照間は沖縄本島から遠望しても、すなわち「果てる+間」島だったに違いない。
落語に限らず「間」がキーポイントだな。

●ついでの連想、
郵便番号は907ー1751と、100ー1701。
上3桁の900番台は九州を意味し、100番台は首都を意味する。
では共通する数字17は、離れ島の意か。鄙(ひな)と読めるな。当たらずと言えども遠からずだな、きっと。
地名と郵便番号17が誘う憧れの景色ではある。
 

◇赤狼
(宮崎県、寿海酒造、芋)



●のっけから地名談義。
北陸に「狼」そのものずばりの地名があるのをご存じか。
古くは「狼村」ったが、明治以降いくたびかの合併を経て、ただいまは富山県高岡市戸出狼である。
同県上市町出身の細川守監督のアニメ映画『おおかみこどもの雨と雪』のモチーフとなったかどうか。
なってないだろうな、聞いたこと無いしな。
上市町北アルプス剱岳」の麓の町。一方の「狼村」は、散居村で知られる砺波平野と、両者、地理的に縁遠いもんな。

●古文献をまとめた『越中史徴』には
狼が出て人を損ねた(けがをさせた)、新開し村を立てるにあたり狼を村の名にした。狼は貴き神」とある。もう一説あって「もともと大かめが棲んでいたから」、つまりオオカメがオオカミに転訛したとするのだ、???
 どちらの説を支持するか。そりゃもちろん狼説でしょ。
怖れつつも崇めるという人為のロマンがあるからな。
 加賀藩政期の村名から今は小字になったとはいえ、
絶滅したニホンオオカミを偲ばせる全国的にも稀少な地名。
けだし、「狼に勝れる地名ほかになし」なのである。

●さて、本題に戻って「赤狼」。
旧制四高出身(金沢)の作家井上靖の小説に『蒼き狼』があり、
幕内力士の名に「青狼」がある。
青狼あるなら、「赤狼」あって当然。厳密には赤狼はアメリカオオカミを指すらしいが…。
それにしても、このところの焼酎ネーミングの世界、赤に黒、黄、白そして紅、紫などと色の豊富なこと繚乱のごとし。元々の名に仕込んだ麹や原材料の芋の色をかぶせた結果、なかには???なネーミングもちらほら。
 
●たとえば「黒白波」。黒麹仕込みのさつま白波なのだが、オイオイ、黒か白かはっきりしてくれ、黒白(こくびゃく)つけてくれよと言いたいですな。どうもあの津波の色を連想してしまう。いけねぇな、よろしくない。
●たとえば黒霧島。かつての造船疑獄という言葉が浮かぶ。政界を覆う黒い霧。長期政権に利権構造…「政(まつりごと)に腐敗はつきもの」と言わざるを得ず、大型汚職事件には要注意。どうにも黒霧は歓迎されづらいな。
●たとえば黄猿。アジア系有色人種の蔑称そのものではありませんか。黒猿、赤猿、白猿とシリーズのネーミングで、黄麹使用ゆえにたまさかこうなった。理解はすれども、さてどんなもんでしょう。ロックバンド「ザ・イエロ・モンキー」の名も同様。

丹精した焼酎づくりの成果なのに、ラベルを前にしてはすんなりおいしく飲めない、はず。
絆創膏も貼りどころよ~く考えないと。
さてもネーミングは難しい。

 きょうは、これにて。
  ポパイに、ほうれん草
  ブログに、いいねボタン