<span itemprop="headline">クルマの話を《4》 スバル360</span>
クルマの話を《4》 スバル360
既掲載は
《3》 いすゞ117クーペ
《2》 日野・コンテッサ1300
《1》 マツダ・コスモスポーツ
クルマの話を《4》 スバル360
▽マスコットだから「売れません」
▽「キュート」の一語、てんとう虫
▽360㏄
規格で精一杯4人乗り
●スバルレオーネに乗っていた頃だから、20代後半のこと。高岡市のスバル販売店に行くと、とうに絶版になっているはずのスバル360が、新車のようなオレンジ色をまとって、ショールームの外に停め置かれていた。
1958年に発売され70年まで、永くも12年間生産継続された排気量360㏄のミニ車である。親しみやすい外観で当時、世間に「ひょっとして、やがて我が家にも車?時代」と予感させてくれましたな。
牛乳瓶わずか2本分の排気量で、それでいてRR(リアエンジン・リアドライブ)の2ドア4人乗り。高身長の今だと4人なんて無理でしょうな。
丸っこい、愛嬌のあるかわいさ。一語で形容せよと言われたら、「キュート」しか思いつきません。復唱、「スバル360」。愛称は「てんとう虫」。
●だから、店舗ショール―ムで展示車を見ていても、ガラスドアの向こうが気になってしようがない。とうとう決意を秘めて尋ねていましたな。「あのオレンジ色のスバル360、いくらほど?」。レオーネから目の前の新品と見まがう軽四の旧車に乗り換えようと、心中に思い定めての質問でした。
店の返答は「あぁ、あれは売りものでないので。当店にたまさかやって来た程度のいい貴重な一台を、レストア(再生)して飾ってある。自店工場で部品交換し、全くの新色で再塗装し、オーバーホール済みだから、ばりばり走りますよ、売りませんけど…」。
要は、大事なスバル自動車のシンボルであり、店と顧客をつなぐ大任担うマスコットというわけなのである。決意はほんの一瞬で冗談に変わりましたな。
●実は入社1,2年の頃の私の取材の足は、先輩2、3人が乗り継いだ社有車「スバルR2」でした。金沢港、駅西地区や藩政期の道筋残る市中を、R2は実に小気味よく軽快に走り抜けてくれました。年齢がダブルスコア超えの先輩を助手席に乗せたときなど「クラッチのつなぎがスムーズ。クラウンみたいな運転をする」と褒められた?記憶もある。スバル360の後継車R2ならではの思い出です。
スバル360 と マツダ・キャロル
●そんなスバル360のライバルだった一台が、マツダ・キャロル。ショートケーキをスパッと切り取ったような車体スタイルで、こちらもRRだが、何と4枚ドアでした。ただでさえ小さいのに「なぜ
わざわざ空間をそぎ落とした? 空間がもったいない」と思ったものです。
流体力学にのっとり精一杯空間を取り込もうとした丸いてんとう虫。対して、カットケーキのようなエッジ線。ともに360㏄規格の当時の軽四界で、癖も工夫も大いにあるナイスな産業デザインでしたな(軽四規格が現行の660㏄になったのは1990年だそうです)。
【スバル360の写真は、昨2014年10月、金沢城公園のクラシックカーフェスタで撮影】
【キャロルの写真は、月刊自家用車臨時増刊『旧車FAN」から】
きょうは、これにて。
既掲載は
《3》 いすゞ117クーペ
《2》 日野・コンテッサ1300
《1》 マツダ・コスモスポーツ
クルマの話を《4》 スバル360
▽マスコットだから「売れません」
▽「キュート」の一語、てんとう虫
▽360㏄
規格で精一杯4人乗り
●スバルレオーネに乗っていた頃だから、20代後半のこと。高岡市のスバル販売店に行くと、とうに絶版になっているはずのスバル360が、新車のようなオレンジ色をまとって、ショールームの外に停め置かれていた。
1958年に発売され70年まで、永くも12年間生産継続された排気量360㏄のミニ車である。親しみやすい外観で当時、世間に「ひょっとして、やがて我が家にも車?時代」と予感させてくれましたな。
牛乳瓶わずか2本分の排気量で、それでいてRR(リアエンジン・リアドライブ)の2ドア4人乗り。高身長の今だと4人なんて無理でしょうな。
丸っこい、愛嬌のあるかわいさ。一語で形容せよと言われたら、「キュート」しか思いつきません。復唱、「スバル360」。愛称は「てんとう虫」。
●だから、店舗ショール―ムで展示車を見ていても、ガラスドアの向こうが気になってしようがない。とうとう決意を秘めて尋ねていましたな。「あのオレンジ色のスバル360、いくらほど?」。レオーネから目の前の新品と見まがう軽四の旧車に乗り換えようと、心中に思い定めての質問でした。
店の返答は「あぁ、あれは売りものでないので。当店にたまさかやって来た程度のいい貴重な一台を、レストア(再生)して飾ってある。自店工場で部品交換し、全くの新色で再塗装し、オーバーホール済みだから、ばりばり走りますよ、売りませんけど…」。
要は、大事なスバル自動車のシンボルであり、店と顧客をつなぐ大任担うマスコットというわけなのである。決意はほんの一瞬で冗談に変わりましたな。
●実は入社1,2年の頃の私の取材の足は、先輩2、3人が乗り継いだ社有車「スバルR2」でした。金沢港、駅西地区や藩政期の道筋残る市中を、R2は実に小気味よく軽快に走り抜けてくれました。年齢がダブルスコア超えの先輩を助手席に乗せたときなど「クラッチのつなぎがスムーズ。クラウンみたいな運転をする」と褒められた?記憶もある。スバル360の後継車R2ならではの思い出です。
スバル360 と マツダ・キャロル
●そんなスバル360のライバルだった一台が、マツダ・キャロル。ショートケーキをスパッと切り取ったような車体スタイルで、こちらもRRだが、何と4枚ドアでした。ただでさえ小さいのに「なぜ
わざわざ空間をそぎ落とした? 空間がもったいない」と思ったものです。
流体力学にのっとり精一杯空間を取り込もうとした丸いてんとう虫。対して、カットケーキのようなエッジ線。ともに360㏄規格の当時の軽四界で、癖も工夫も大いにあるナイスな産業デザインでしたな(軽四規格が現行の660㏄になったのは1990年だそうです)。
【スバル360の写真は、昨2014年10月、金沢城公園のクラシックカーフェスタで撮影】
【キャロルの写真は、月刊自家用車臨時増刊『旧車FAN」から】
きょうは、これにて。