<span itemprop="headline">クルマの話を 《3》 いすゞ・117クーペ</span>
クルマの話を《3》 いすゞ・117クーペ
既掲載は
《2》日野・コンテッサ
《1》マツダ・コスモスポーツ
◆いすず・117クーペ◆
愛想ない?3ケタ数字の名前
ジウジアーロいいなデザイン
角目より断然、「丸目」がいい
●誰もがあなたにうっとりします。「いいな~このクルマ…」とつぶやき、垂涎の的です。イタリアの名匠、ジウジアーロによる流麗なデザイン。日野と同様に今はトラック、バスメーカーであるいすゞ自動車が、かつて造った乗用車です。
●あなた、いすゞ家の太郎さんで
すか? 一郎さんですか? えっ、開発コードみたいな、いきなりの数字3ケタが名前なんですか。クーペも単なる車の形の説明ではなく、名前の一部であると…。兄弟分にいすゞ・ベレル、いすゞ・ベレットGT、いすゞ・フローリアンたちもいたのにね。愛想のない数字の名前で寂しくありません?
●それでは、名前を呼ぶときは「いいなクーペ」と声にし、字にするときは「117クーペ」と書きましょう。数字がかなに読める117クーペは、きっと一番素直な、一番脳裡に刻まれる名前でしょうな。110、119、184などと並ぶ著名3ケタ数字は、自動車史に輝く永久欠番となること必定。復唱、いいなクーペ。
117 対 NSX
●名前ついでに言えば、ホンダのスーパーカー「NSX」が登場したときもびっくりしました。どこぞの国の言語、生産国の言葉でもなく、アルファベットの3文字。ニュー+スポーツの頭文字に、未踏、未知数の意のXを並べたというんですな。
世界にアピールするにはへたに意味ある単語より、無機質なアルファベットか数字の方がむしろ万国の老幼誰でも読めるはずだし、手っ取り早い。世界戦略にはむしろ好適ということなんでしょうな。
117とNSX。数字は0から9までわずか10個、対してアルファベットは26字。世界浸透度を推測するに、ここは117の勝ちでしょう。
●流麗すぎるジウジアーロのデザインは、当時のプレス(圧延)機では対応できず、当初の117クーペは一部ハンドメイド、つまり手技で仕上げられた。一枚の板金から曲線美をたたき出す伝統工芸の職人の「鍛金」の技も駆使されたに違いありません。
当初は「丸目4灯」だったヘッドライトがそのうち「角目4灯」に変更されましたが、今振り返っても、断然、ジウジアーロオリジナルのころの丸目4灯が似合っていましたな。
●ヘッドライトの次にもう一つ付け加えるなら、車輪の引き立て役ホイールキャップ。117クーペのそれは、繊細な直線で構成された、非点対称、非線対称の緻密な幾何学模様で、今も記憶に残っています。さすがに昨今の車雑誌にも写っていませんが、インテリアにも十分映える美術品のような丸い逸品でありました。
走っていても静止(停止ではない!)していても「117(いいな)」となる。名車とは走行性能にプラス、最後はデザインが決める、と思わせてくれる一台です。
(写真は、2014年秋、金沢城公園で開かれたクラシックカーフェスタの会場で)
きょうは、これにて。
既掲載は
《2》日野・コンテッサ
《1》マツダ・コスモスポーツ
◆いすず・117クーペ◆
愛想ない?3ケタ数字の名前
ジウジアーロいいなデザイン
角目より断然、「丸目」がいい
●誰もがあなたにうっとりします。「いいな~このクルマ…」とつぶやき、垂涎の的です。イタリアの名匠、ジウジアーロによる流麗なデザイン。日野と同様に今はトラック、バスメーカーであるいすゞ自動車が、かつて造った乗用車です。
●あなた、いすゞ家の太郎さんで
すか? 一郎さんですか? えっ、開発コードみたいな、いきなりの数字3ケタが名前なんですか。クーペも単なる車の形の説明ではなく、名前の一部であると…。兄弟分にいすゞ・ベレル、いすゞ・ベレットGT、いすゞ・フローリアンたちもいたのにね。愛想のない数字の名前で寂しくありません?
●それでは、名前を呼ぶときは「いいなクーペ」と声にし、字にするときは「117クーペ」と書きましょう。数字がかなに読める117クーペは、きっと一番素直な、一番脳裡に刻まれる名前でしょうな。110、119、184などと並ぶ著名3ケタ数字は、自動車史に輝く永久欠番となること必定。復唱、いいなクーペ。
117 対 NSX
●名前ついでに言えば、ホンダのスーパーカー「NSX」が登場したときもびっくりしました。どこぞの国の言語、生産国の言葉でもなく、アルファベットの3文字。ニュー+スポーツの頭文字に、未踏、未知数の意のXを並べたというんですな。
世界にアピールするにはへたに意味ある単語より、無機質なアルファベットか数字の方がむしろ万国の老幼誰でも読めるはずだし、手っ取り早い。世界戦略にはむしろ好適ということなんでしょうな。
117とNSX。数字は0から9までわずか10個、対してアルファベットは26字。世界浸透度を推測するに、ここは117の勝ちでしょう。
●流麗すぎるジウジアーロのデザインは、当時のプレス(圧延)機では対応できず、当初の117クーペは一部ハンドメイド、つまり手技で仕上げられた。一枚の板金から曲線美をたたき出す伝統工芸の職人の「鍛金」の技も駆使されたに違いありません。
当初は「丸目4灯」だったヘッドライトがそのうち「角目4灯」に変更されましたが、今振り返っても、断然、ジウジアーロオリジナルのころの丸目4灯が似合っていましたな。
●ヘッドライトの次にもう一つ付け加えるなら、車輪の引き立て役ホイールキャップ。117クーペのそれは、繊細な直線で構成された、非点対称、非線対称の緻密な幾何学模様で、今も記憶に残っています。さすがに昨今の車雑誌にも写っていませんが、インテリアにも十分映える美術品のような丸い逸品でありました。
走っていても静止(停止ではない!)していても「117(いいな)」となる。名車とは走行性能にプラス、最後はデザインが決める、と思わせてくれる一台です。
(写真は、2014年秋、金沢城公園で開かれたクラシックカーフェスタの会場で)
きょうは、これにて。