すーてき散人空の紙

北陸発、テキスト偏重、テーマは原則その時々、気分次第の旬刊ないし月刊、あるいはときどき不定期刊のブログです。

<span itemprop="headline">どうにも熱い、焼酎ネーミング シリーズ17</span>

どうにも熱い、焼酎ネーミング シリーズ17

軽々に口に出してはいけない言葉があります。社会のエチケット、マナーです。しかし、堂々と話題にし、名乗りをする人、ネーミングもあります。よほど、性根が据わっていないとできないこと。今回は、頭つながりで失礼ながら、「はげあたま」と「河童の誘い水」について。

既掲載は
(シリーズ16◆おやっとさあ◆いつもの奴)
(シリーズ15◆ハナタレ◆不二才(ぶにせ))
(シリー
ズ14◆青木昆陽、利右衛門◆佐藤)
 (シリーズ13◆小松帯刀◆鉄幹)
(シリーズ12◆さそり◆もぐら)
(シリーズ11◆天魔の雫◆知心剣
(シリーズ10◆天孫降臨◆不阿羅王)
(シリーズ9◆晴耕雨読◆おやじの誇り) 
  (シリーズ8◆この地に天使が舞い降りた。 天使のささやき 恋あじ◆両思ひ)

 (シリーズ7◆今も昔も焼酎は、西、岩倉 月の中◆二階堂 吉四六
 (シリーズ6◆
虎の涙◆蔵人の戯れ)
(シリーズ5
◆いも神◆元祖やきいも)

 (シリーズ4◆魔女からの贈りもの 魔法のくちづけ◆うわさのいい夫婦)
(シリーズ3◆
百年の孤独◆問わず語らず名も無き焼酎)
(シリーズ2◆銀座のすずめ◆とんぼの昼寝)
(シリーズ1◆六地蔵の夜仕事◆我伝直伝)




悲哀かこつ「兀」、大手振る「禿」
堂々の逆手、高潔さ漂う
●はげあたま●
(熊本・山都酒造、芋)

付けも付けたり「はげあたま」とは。世の男性のヒトケタないしフタケタ%を敵に回しても、売り上げを落としても、付けたかった名前!なのかな。人の心を逆立てる意思は毛頭ありませんが、御免!はげあたまのインパクトあるネーミングとあれば、シリーズに加えざるを得

ません。

ツィッ
ター界の名言。
「髪の毛が後退しているのではない。私が前進しているのだ」。発したのはソフトバンクの社長孫正義氏。IT通信分野の国際的巨人となるには、これだけの特異な発想、逆転の思考、哲学が必須なのです。 

髪の後退、即ち無毛面積の拡大。円周率記号Π(パ
イ)のような「兀」も、何か別物が上にある「禿」も、ともに訓読みはハゲる。(音読みは前者がコツ、後者はトク)。どう違うのか。象形文字としてみると、「兀」は部首・ひとあしの上に置いた板の上に何もない状態。一方、「禿」はひとあしの上に、禾(のぎ)がただ載っかっている状態と素人には映ります。

ところが、辞書を引くと「禿」は頻繁に出てくるのに、「兀」の字は一向に出てこない。字面は、「兀」の方がよほどそれらしいのに、どうして兀の字は駆逐され悲哀をかこっているのか。解せません。


ちなみに、石川県の医王山系には白兀山(標高896㍍)があり、北アルプス剱岳に連なる「ハゲ山」(標高464㍍)は昔、兀山と書いたはず。愛知県にも兀山、長野県には兀岳もある。

察するところ、兀山は固有名詞だから、〝しゃぁない〟から収載され、それ以外は禿げ山、禿頭などと禿の方がまかり通っている現状です。まさに辞書界の不思議。漢字の世界の3・14159…頑張れと応援したいですな。

孫社長に名言がもう一つ。「ハゲは病気ではない。男の主張だ」。そう、男の主張。東京銀座の老舗「ハゲ天」が金沢に支店を出していた当時、のれんの存在感は辺りの空気を払い(大げさすぎ?)、堂々の、逆手の名乗りに高潔ささえ感じましたな。焼酎「はげあたま」も男の主張を。健闘祈念。



モテっぷり、並みの妖怪にあらず
変幻自在の国産キャラクター
●河童の誘い水●
(宮崎・京屋酒造、芋)

河童ってモテるんですな。説話、民話の世界の動物な
がら、時にカッパ、かっぱと字を変えイメージを変えて、あちこちの分野に引く手数多、神出鬼没、変幻自在、キャリアも十分。ホント、並みの妖怪ではありませんな。

記憶を補強しつつ駆け足で列挙していくと、芥川龍之介の代表作の一つに『河童』があり、板画家棟方志功には河童を小川の川面に探した?富山県福光時代の作品『瞞着川(だましがわ)板画巻』(13柵)があり、屁のカッパ精神に触発された?出版人神吉(かんき)晴夫は、カッパ半跏像をロ

ゴマークに掲げて『カッパブックス』を創刊し、ベストセラーを連発した。

漫画家清水昆の描く『かっぱ天国』のかっぱたちは、清酒「黄桜」のCMとなり、2代目の小島功に引き継がれ、我が国ならではのかっぱキャラクターとして確立した。

やめられない、とまらないカルビーかっぱえびせん」は、いまだにスナック菓子界の巨人。すし店では昔っからかっぱの好物だからと、きゅうり巻をかっぱ巻と言い習わし、「かっぱ寿司」チェ
ーンまで登場した。
サッカー界では鹿島アントラーズアルシンド選手。見事なカッパ頭(失礼?)で得点を挙げるたび興奮と歓喜を呼び、初期Jリーグ功労者の一人でしょう。
ほかにもいろいろ〝かっぱ物語〟はあるんでしょうな。あっ、国産観測衛星カッパ・ロケットは違いますよ。調べたらギリシャ文字のK(カッパ)由来でした…。

さて本題の、河童の誘い水。頭の皿に水気を切らすと生気を失うのがカッパなら、切れそうなときには誘い水も必要でしょう。市場に酒税法改正後、後手で参入した本格焼酎(乙類)にすれば、清酒やビール、ウイスキーから種目変更を迫る狙いの、誘い水のネーミングではないでしょうか。えっ、種目変更どころか他の銘柄からの変更も迫りたい、そのための2段構えの誘い水ですとーー?。
河童の神通力にあやかりましょう。神通川富山県)にも河童はいると思いますから。

きょうは、これにて。次回シリーズ18で。