<span itemprop="headline">クルマの話を《2》 日野・コンテッサ1300</span>
クルマの話を《2》
◆日野・コンテッサ1300◆
今は幻、RRの「伯爵夫人」
バス、トラックメーカーのエレガント
1967年乗用車生産終了
記憶にある北陸線鈍行列車からの車窓風景。富山市郊外辺り、富山日野自動車の工場が見え、すぐそばに「ティファニー」という喫茶店があった。まだ10代後半のころだったが、ニューヨークにはティファニーという世界でも屈指の宝飾店があり、『ティファニーで朝食を』という映画もあった。主演はオードリー・ヘプバーン。それは知っていた。喫茶店のティファニーという名前は、映画にあやかったに違いなく、今で言うセレブ感が漂っていました。そんな工場、喫茶店の駐車場周辺で、車窓からちょ
くちょく見かけたのが特徴のある車体デザインの「コンテッサ1300」(写真右)です。
日野と言えば、いすゞ同様にバス、トラック製造メーカーと答えたくなりますが、東京オリンピックの1964年から67年までこんな乗用車も造っていた。イタリアのミケロッティのデザインで、典雅にしてエレガント、実にイタリアンテイストあふれる(あたりまえ!)見映えでした。復唱、「コンテッサ1300」。
〝顔〟の特徴は風の取り入れ口であるフロントグリルがなく、したがって〝鼻先(フロントノーズ)〟は上品にツルンとしている。横から見ると前後が線対称に見え、絵心不足でも簡単に一筆書きできる。こんなデザインが可能なのも、リアエンジン・リアドライブ(略してRR)だから。
エンジンをリアに置くかフロントに置くか、前輪と後輪のいずれを駆動させるか。
RR=後エンジン、後輪駆動
FR=前エンジン、後輪駆動
FF=前エンジン、前輪鼓動
言い方を変えると、要はFとRの組み合わせが車の基本性格を決め、時にデザインまで左右する。時代的にはRRから、FR、そしてFFと推移してきた。FFの登場があとになったのは、ステアリング(操舵)を含めた主要3装置を1カ所に集中させるのは技術的に難しく、車重バランスもよろしくないから。今FFが大勢になっているのはエンジンの軽量化や制御の一部コンピュータ化などにより難点を克服してきたから。そうしてAWD(全輪駆動)やスポーツカーのMR方式(エンジン中心部置き、後輪駆動)の進展がある。
RRとFFの違いは、手っ取り早くは、振り売りのリヤカーを想定すればわかりが早い。上り坂だと人はリヤカーを押して上がり(RR)、下りでは人は荷の前に出て曳く(FF)。雪道は俄然、前足で雪をかき轍をつくっていく形の、前輪駆動の方が強い。
そんなこんなを勘案しつつ、RRのコンテッサ1300を思う。
エンジン冷却のためのグリルはテール部分にあり、ボンネットを持ち上げるとそこは荷室。走行時の浮き上がり抑止のためにも荷室に荷物はあった方がいい。やはりRRだった旧フォルクスワーゲンのあのカブトムシスタイルも実は浮き上がり防止のため。現車は、RR当時のカブトムシスタイルを踏襲しつつのFFと思われます。
ちなみにコンテッサの初代は、900㏄エンジンを積み、名前は「コンテッサ900」
(写真左)でした。2代目は1300㏄に排気量をアップしたに止まらず、車体デザインは行って来るほどがらっと変わった。同じコンテッサでも、やはり、2代目の1300の方に軍配を挙げたく思います。
日野の乗用車生産はコンテッサのみで終わった。もし、継続していたら、今頃どんなクルマを造っていたでしょう。
(写真2枚はいずれも、『旧車FAN』内外出版社、2014年11月発行から)
きょうは、これにて。
◆日野・コンテッサ1300◆
今は幻、RRの「伯爵夫人」
バス、トラックメーカーのエレガント
1967年乗用車生産終了
記憶にある北陸線鈍行列車からの車窓風景。富山市郊外辺り、富山日野自動車の工場が見え、すぐそばに「ティファニー」という喫茶店があった。まだ10代後半のころだったが、ニューヨークにはティファニーという世界でも屈指の宝飾店があり、『ティファニーで朝食を』という映画もあった。主演はオードリー・ヘプバーン。それは知っていた。喫茶店のティファニーという名前は、映画にあやかったに違いなく、今で言うセレブ感が漂っていました。そんな工場、喫茶店の駐車場周辺で、車窓からちょ
くちょく見かけたのが特徴のある車体デザインの「コンテッサ1300」(写真右)です。
日野と言えば、いすゞ同様にバス、トラック製造メーカーと答えたくなりますが、東京オリンピックの1964年から67年までこんな乗用車も造っていた。イタリアのミケロッティのデザインで、典雅にしてエレガント、実にイタリアンテイストあふれる(あたりまえ!)見映えでした。復唱、「コンテッサ1300」。
〝顔〟の特徴は風の取り入れ口であるフロントグリルがなく、したがって〝鼻先(フロントノーズ)〟は上品にツルンとしている。横から見ると前後が線対称に見え、絵心不足でも簡単に一筆書きできる。こんなデザインが可能なのも、リアエンジン・リアドライブ(略してRR)だから。
エンジンをリアに置くかフロントに置くか、前輪と後輪のいずれを駆動させるか。
RR=後エンジン、後輪駆動
FR=前エンジン、後輪駆動
FF=前エンジン、前輪鼓動
言い方を変えると、要はFとRの組み合わせが車の基本性格を決め、時にデザインまで左右する。時代的にはRRから、FR、そしてFFと推移してきた。FFの登場があとになったのは、ステアリング(操舵)を含めた主要3装置を1カ所に集中させるのは技術的に難しく、車重バランスもよろしくないから。今FFが大勢になっているのはエンジンの軽量化や制御の一部コンピュータ化などにより難点を克服してきたから。そうしてAWD(全輪駆動)やスポーツカーのMR方式(エンジン中心部置き、後輪駆動)の進展がある。
RRとFFの違いは、手っ取り早くは、振り売りのリヤカーを想定すればわかりが早い。上り坂だと人はリヤカーを押して上がり(RR)、下りでは人は荷の前に出て曳く(FF)。雪道は俄然、前足で雪をかき轍をつくっていく形の、前輪駆動の方が強い。
そんなこんなを勘案しつつ、RRのコンテッサ1300を思う。
エンジン冷却のためのグリルはテール部分にあり、ボンネットを持ち上げるとそこは荷室。走行時の浮き上がり抑止のためにも荷室に荷物はあった方がいい。やはりRRだった旧フォルクスワーゲンのあのカブトムシスタイルも実は浮き上がり防止のため。現車は、RR当時のカブトムシスタイルを踏襲しつつのFFと思われます。
ちなみにコンテッサの初代は、900㏄エンジンを積み、名前は「コンテッサ900」
(写真左)でした。2代目は1300㏄に排気量をアップしたに止まらず、車体デザインは行って来るほどがらっと変わった。同じコンテッサでも、やはり、2代目の1300の方に軍配を挙げたく思います。
日野の乗用車生産はコンテッサのみで終わった。もし、継続していたら、今頃どんなクルマを造っていたでしょう。
(写真2枚はいずれも、『旧車FAN』内外出版社、2014年11月発行から)
きょうは、これにて。