<span itemprop="headline">クルマの話を《11》 マツダ・カペラ4WDワゴン</span>
クルマの話を《11》
マツダ・カペラ4WDワゴン
▽衝撃的だった「黒い粒子」会見
▽ディーゼル断念、ガソリンに戻る
▽“文化財級”の5速MT探し出す
●ディーゼル粉塵
を糾弾した石原慎太郎東京都知事の記者会見(1999年)を覚えていますか? ペットボトルに詰めた粉塵を会見の場のそこらに振りまき、環境・大気汚染に言及し最後に一言、「トラックは都内に入れない」。ディーゼル排ガス規制の引き金になった会見です。
テレビ画面でも視認できた粉塵、黒い粒子の集積には正直、驚愕しました。で、もはやディーゼル乗用車を愛車にするのも終わりだなと悟りましたな。ジェミニ、ランサーと続いてきたディーゼル評価もこれまでと。そうして次に選んだのが、ガソリンエンジンのマツダ・カペラ4WDワゴンです。
◆(ちなみに、この記事執筆中の2015年4月段階では、マツダの「クリーンディーゼル車」が注目され販売台数を増やしつつあります。ディーゼルの本場ヨーロッパよりも厳しいわが国のディーゼル排ガス規制をクリアして、小排気量ディーゼルエンジンはみごと復活再生したのです。新ディーゼルの時代と言えますな)。
●閑話休題。およそ7年間乗り続けてきたランサー4WDディーゼルから乗り替えるに当たり、もう一点こだわったのが、フロアシフトの5速MT(マニュアルトランスミッション)であること。4代目愛車はガソリン・4WD・5ドア・5MTを要件にしたのです。略してG455。
●なぜMTか。これまで乗ってきた車はレオーネ、ジェミニ、ランサーとすべてMTで通してきた。にもかかわらず4代目探しを始めて初めて、「世の中、ほとんど全部が全部AT(オートマチックトランスミッション)になっている」という状況に気づいたのです。MTが無いー。ならば何が何でもフロアシフトの5速MTを探すー。
だいたいATは、アクセルレスポンスかったるく、真綿を踏んでいるような、あるいは隔靴掻痒の感がある。大都市圏の高速ICでは車線合流しようにも車間距離が短く、ただでさえ命がけの体となる。であれば3速で一気にフル加速していく方が安全だ。雪道のスタック時もMTの方が脱出しやすい。ともあれ、クラッチ操作が面倒であっても、きびきびスパルタンに走る方がいい。
アクセル、ブレーキ、クラッチ(頭文字を並べてABC)とハンドル、つまり両手両足をフルに使った運転こそ、本当の技能というものだ。
●石川、富山両県の新車、中古問わず車販売店を探し回りましたな。トヨタ系ディーラーでは「今どきMTはスポーツカーか農作業用の軽トラックしかないでしょう」と。車雑誌を開くと、元レーサーの自動車評論家がコラムで「MTはもはや文化財」と書いている。AT全盛。富山で4条件をクリアする日産ラシーンを見つけたが、どうにも後部席が狭い。カペラ4WDワゴンを見つけたのは、薄暮時。運転席をのぞき込むと、“床から角の生えた”フロアシフトの5MTではないか。駐車場で人知れず「やったー」と快哉を叫んでいた。ワインレッドとグレーのツートンカラーで、バックドアに「フィールドクルーザー」とある。…野っ原の巡航車か…フムフムである。
●記憶によると、ニッサンのステージアに次いで、車体の長い車でしたな。駐車場に止めると他の車より頭一つ図抜けていて、車重は優に1・2トンを超えていましたな。「カンガルーバンパー」まで付けている。
長い車だから直進安定性は抜群。ハンドルに指を引っかけているだけでふらつくこともなく、後部座席を倒すと真っ平らなスペースが出現し、のびのびと車中泊も可能でしたな。おかげで内灘砂丘で、白山の高原で、風に吹かれてまどろみ、能登半島の付け根になる氷見市間島海岸では寝そべったまま太平洋側に上る日の出を待った。ほんと、座席ドアを開け、バックドアを跳ね上
げるとどこでもくつろぎタイムでしたな。
●ダッシュボードに後付けしたカーナビとともに、東京へ、川越へ、高野山へなどなど出かけました。山手線の電車と金網越しに並走後、突然交差点に出たと思ったら、都内屈指の渋谷駅前交差点で、ぽっと出の石川ナンバーはドッキリ至極。それでも世田谷、杉並、新宿、渋谷とカーナビの“仰るとおり”に走り回ってきました。G445とカーナビはいいコンビではありました。
つくづく、カーナビは交通革命、いや、古代に始まる人間の行動半径史上(へんな言い方ですが)の一大発明と実感した次第。
●そんなこんなで、「野っ原の巡航車」には、10年近く乗りました。
ちなみに、マツダというメーカーは、独自仕様のスカイアクティブを基調に、同ハイブリッド(トヨタシステム)、同ディーゼルと、1社で3通りのエンジンをラインアップしている。以前にはレシプロとロータリー2つ
のエンジンをラインアップしたから、実に技術力の高い広島本社の企業です。
ディーゼルエンジンはドイツの技術者ルドルフ・ディーゼルが、ロータリエンジンはドイツのバンケル博士が発明した。マツダが、もしロータリーエンジン車を復活させれば、1社で4通りのエンジンをそろえることになる。稀有なメーカーですな。
●マツダのエンブレム。上はカペラ当時。下は、仮面舞踏会の仮面とも、大空を舞う鳥の翼とも見える、現行のM字エンブレム。
いつもより格段の長文、読了感謝。きょうはこれにて。次回、愛車5代目について。
マツダ・カペラ4WDワゴン
▽衝撃的だった「黒い粒子」会見
▽ディーゼル断念、ガソリンに戻る
▽“文化財級”の5速MT探し出す
●ディーゼル粉塵
を糾弾した石原慎太郎東京都知事の記者会見(1999年)を覚えていますか? ペットボトルに詰めた粉塵を会見の場のそこらに振りまき、環境・大気汚染に言及し最後に一言、「トラックは都内に入れない」。ディーゼル排ガス規制の引き金になった会見です。
テレビ画面でも視認できた粉塵、黒い粒子の集積には正直、驚愕しました。で、もはやディーゼル乗用車を愛車にするのも終わりだなと悟りましたな。ジェミニ、ランサーと続いてきたディーゼル評価もこれまでと。そうして次に選んだのが、ガソリンエンジンのマツダ・カペラ4WDワゴンです。
◆(ちなみに、この記事執筆中の2015年4月段階では、マツダの「クリーンディーゼル車」が注目され販売台数を増やしつつあります。ディーゼルの本場ヨーロッパよりも厳しいわが国のディーゼル排ガス規制をクリアして、小排気量ディーゼルエンジンはみごと復活再生したのです。新ディーゼルの時代と言えますな)。
●閑話休題。およそ7年間乗り続けてきたランサー4WDディーゼルから乗り替えるに当たり、もう一点こだわったのが、フロアシフトの5速MT(マニュアルトランスミッション)であること。4代目愛車はガソリン・4WD・5ドア・5MTを要件にしたのです。略してG455。
●なぜMTか。これまで乗ってきた車はレオーネ、ジェミニ、ランサーとすべてMTで通してきた。にもかかわらず4代目探しを始めて初めて、「世の中、ほとんど全部が全部AT(オートマチックトランスミッション)になっている」という状況に気づいたのです。MTが無いー。ならば何が何でもフロアシフトの5速MTを探すー。
だいたいATは、アクセルレスポンスかったるく、真綿を踏んでいるような、あるいは隔靴掻痒の感がある。大都市圏の高速ICでは車線合流しようにも車間距離が短く、ただでさえ命がけの体となる。であれば3速で一気にフル加速していく方が安全だ。雪道のスタック時もMTの方が脱出しやすい。ともあれ、クラッチ操作が面倒であっても、きびきびスパルタンに走る方がいい。
アクセル、ブレーキ、クラッチ(頭文字を並べてABC)とハンドル、つまり両手両足をフルに使った運転こそ、本当の技能というものだ。
●石川、富山両県の新車、中古問わず車販売店を探し回りましたな。トヨタ系ディーラーでは「今どきMTはスポーツカーか農作業用の軽トラックしかないでしょう」と。車雑誌を開くと、元レーサーの自動車評論家がコラムで「MTはもはや文化財」と書いている。AT全盛。富山で4条件をクリアする日産ラシーンを見つけたが、どうにも後部席が狭い。カペラ4WDワゴンを見つけたのは、薄暮時。運転席をのぞき込むと、“床から角の生えた”フロアシフトの5MTではないか。駐車場で人知れず「やったー」と快哉を叫んでいた。ワインレッドとグレーのツートンカラーで、バックドアに「フィールドクルーザー」とある。…野っ原の巡航車か…フムフムである。
●記憶によると、ニッサンのステージアに次いで、車体の長い車でしたな。駐車場に止めると他の車より頭一つ図抜けていて、車重は優に1・2トンを超えていましたな。「カンガルーバンパー」まで付けている。
長い車だから直進安定性は抜群。ハンドルに指を引っかけているだけでふらつくこともなく、後部座席を倒すと真っ平らなスペースが出現し、のびのびと車中泊も可能でしたな。おかげで内灘砂丘で、白山の高原で、風に吹かれてまどろみ、能登半島の付け根になる氷見市間島海岸では寝そべったまま太平洋側に上る日の出を待った。ほんと、座席ドアを開け、バックドアを跳ね上
げるとどこでもくつろぎタイムでしたな。
●ダッシュボードに後付けしたカーナビとともに、東京へ、川越へ、高野山へなどなど出かけました。山手線の電車と金網越しに並走後、突然交差点に出たと思ったら、都内屈指の渋谷駅前交差点で、ぽっと出の石川ナンバーはドッキリ至極。それでも世田谷、杉並、新宿、渋谷とカーナビの“仰るとおり”に走り回ってきました。G445とカーナビはいいコンビではありました。
つくづく、カーナビは交通革命、いや、古代に始まる人間の行動半径史上(へんな言い方ですが)の一大発明と実感した次第。
●そんなこんなで、「野っ原の巡航車」には、10年近く乗りました。
ちなみに、マツダというメーカーは、独自仕様のスカイアクティブを基調に、同ハイブリッド(トヨタシステム)、同ディーゼルと、1社で3通りのエンジンをラインアップしている。以前にはレシプロとロータリー2つ
のエンジンをラインアップしたから、実に技術力の高い広島本社の企業です。
ディーゼルエンジンはドイツの技術者ルドルフ・ディーゼルが、ロータリエンジンはドイツのバンケル博士が発明した。マツダが、もしロータリーエンジン車を復活させれば、1社で4通りのエンジンをそろえることになる。稀有なメーカーですな。
●マツダのエンブレム。上はカペラ当時。下は、仮面舞踏会の仮面とも、大空を舞う鳥の翼とも見える、現行のM字エンブレム。
いつもより格段の長文、読了感謝。きょうはこれにて。次回、愛車5代目について。