すーてき散人空の紙

北陸発、テキスト偏重、テーマは原則その時々、気分次第の旬刊ないし月刊、あるいはときどき不定期刊のブログです。

<span itemprop="headline">クルマの話を《7》 スバル・レオーネ</span>

クルマの話を《7》 スバル・レオーネ(初代)
 記憶に残るクラシックカーを取り上げた前編、息抜きの『自動車ショー歌』の後は、わが乗り継いできた愛車たちについて。


▽スバル?、すばる?…六連星むつらぼし
▽古語辞典で遭遇、枕草子「星はすばる…」
▽1+5、企業の沿革が一目瞭然
 
●愛車の第1号はスバル・レオーネ(初代)でした。兄弟車に国産初の4WDを持ち、まん丸目玉のFF先駆の名車スバル1000の流れを汲む1970年発売の4ドアセダン。社会人3年目の私が選んだのは、一見無骨な、それでいておおらかな性格の車でした。

 ●谷村新司さんの名曲『昴』(1980年発売)の以前は、案外、スバルは外来語と思っていた人が少

なくないのではないか。まだ少年だった私も、キュートな軽四「スバル360」(1958年発売)を街中で見かけると、「どこの国の言葉? 語感?」と自問自答したりしましたな。

高校生の時、たま
さか古語辞典に項目【すばる】を見つけてびっくり。さらには、清少納言が「星はすばる、ひこぼし、ゆふづつ…(がいい)」と、雅な文体で枕草子に書き残していると知って、再度びっくりした。
 
天体としては、牡牛座のプレアデス星団だが、肉眼では6つの星としか見えないから、したがって、やまと言葉では「六連星」と言ってきた。おっと、「ろくれんせい」ではありませんぞ。
「むつらぼし」と読む。やまと言葉ですぞ。
●つまり、すばるは、由緒正しき日
本語中の日本語、平安朝文学にもとどめられる古語だったんですな。ほんと、つゆ、知りませなんだ。
もし、車が「すばる」とひらがな表記だったら、私のような無用なあたふたはなかったのではないか。社名・いすゞ自動車のよ

うに、やまと言葉表記のまますばるだったら、と今でも時折思う…。

 
●それにしても、スバルブランドの「六連星・むつらぼし」のエンブレム=写真上・下=の秀逸なこと。富士重工という会社の沿革を、このロゴマークが、図案が端的に物語っています。「1つの星のもとに、5つの小さな星がまとまって在る図」ー。
富士重工は、戦闘機も造った中島飛行機と関連5社が集結して戦後、再スタートした会社である。社外の人に向けては会社の存立過程を、社員たちに向けては自分たちの存立基盤を
物語っている、そんな得がたい、有り難いマークなんですな。

 
●天体・すばるという星団の六連星という形体と、会社の形態【1+5】という、見事な数字の一致。ネーミングに古語を持ってきた発想の主は誰?
ネットサーフィンしてみると、当時、社員から、発売する軽四の車名を募集したところ、提案があり、即決したとか。
スバル・六連星マークはその後、富士重工が世に送り出す自動車すべての共通ブランドとなっている。細かなデザインこそいくつか変遷しているものの、1+5の基本スタイルは一向に変わっていない。
きっと、高々と掲げる旗印として、これ以上の旗印はないのでしょう。
そのうち、社名に昇格の可能性なきにしもあらず、かな。パナソニック松下電器)やサントリー(寿屋)のように。

「昴」か「統ばる」か
 

では、漢字表記は、「昴」と自動詞の「統ばる」、どちらがよりふさわしいか。
太陽と星々を表す「昴」もいいが、一つのまとまりを意味する「統」を推したいですな。もちろん他動詞「統べる」の意は採りません。あたかも、人徳人望を慕って人々がおのずと集まり、一つにまとまっていく自動詞「統ばる」の方です。力で統べるより、おのずとまとまる-。星団の成り立ち過程だけでなく、人間社会の成り立ち過程もかく在りたいと解釈しています。
それにしても、やまと言葉のブランド名は素敵ですな。グローバルな時代だからこそ、自国の古語由来の名称は、燦然と輝く。これも、クールジャパンですな。

ネーミングに終始して、長くなりました。次回は本筋に戻って、クルマ=レオーネについて。

     既掲載は
     《6》 自動車ショー歌
     《5》 プリンス・グロリア(2代目)
《4》 スバル360
《3》 いすゞ117クーペ
《2》 日野・コンテッサ1600
《1》 マツダコスモスポーツ
きょうは、これにて。