すーてき散人空の紙

北陸発、テキスト偏重、テーマは原則その時々、気分次第の旬刊ないし月刊、あるいはときどき不定期刊のブログです。

<span itemprop="headline">どうにも熱い、焼酎ネーミング シリーズ1</span>

◆どうにも熱い 焼酎ネーミングの世界◆ シリーズ 1

焼酎のネーミングの世界が、どうにも熱い。奇抜というか、奇天烈、奇想天外で、過日なんぞ金沢市のイオンもりの里店の酒コーナーで、棚にずらり並んだ焼酎のラベルを〝鑑賞〟して回り、全然飽きなかったのである。常識をはるかに超えて飛ぶさま、さながら、マッカッカな夕焼け空に見事な輪を描いて見せたとんびの、思わぬ晴れ姿を想ったほど(三橋美智也歌「夕焼けとんび」)。
ラベルを頼りに、連想が連想を呼ぶ焼酎の名前を、何回かに分けてお届けしてみたい。勝手な思い込みあれば、ごめん。


仏の縁の、有り難いコラボレート
ひっそりこっそりかいがいしく
六地蔵の夜仕事▲
(鹿児島・本坊酒造、芋)

昼は村のお祈りをすまし顔で聞き、夜は村の寝息の聞こえる頃、6体のお地蔵さんが動き出す。ひっそりと、こっそりと、かいがいしく。焼酎の仕込みに精を出す。夜明けて村が起き出す頃、いつものお堂で、い

つものすまし顔。

 何日間、お地蔵さんの夜なべ仕事が続いたのでしょうか。

((いいなぁ。「かあさんが 夜なべをして 手袋編んでくれた~」。童謡の一節を思い出すな))ほっこり、ほっこり、メルヘンチック。

 
お地蔵さん手ずからの焼酎。うまいに決まっているさ。ほれ、こぼすな、こぼすな。
人の世の煩悩なんて、とろーりさらさら、流れ
てしまうさ。人生何があってもへっちゃら、心配するな、させないよ。救われるに決まっているさ。とろーりさらさら、うまいな、ありがたいな、このお酒。

そんなネーミングなんだろうなと、棚からボトルを引っ張り出してラベルを見たら、「六地蔵園芸」という農場産の芋を使用し、蔵元は「本坊酒造」とある。
ふーん、そうなんだ。お地蔵さんと本坊さんが、仏の縁で、コラボレートしたんだ。
ほっこり、ほっこり。道理で、ありがたい味がする。
 
 
我が作品をおぬしに、ささ一献
我田引水、
我伝直伝▲ 
(鹿児島・若松酒造、芋)

きっと頑固一徹、我が道一筋の、気骨ある蔵元の焼酎なんだろな。
ときに怒り心頭に達し、頭が沸騰したら、勢いよく卓袱台をひっくり返してしまうような頑固、一途。星飛雄馬の親父

さんみたいな(名前は一徹でしたっけ、やはり)。子には、怖くもあり、頼もしくもあり。

ともあれ頑固さといえば、九州人には違いなく、肥後もっこすか、薩摩おいどんか。ラベルで確認すると、薩摩おいどんでした。

 我田引水みたいな、「我田引鉄」みたいな、みみっちいことは、しない、言わない。
惜しげもなく我が生み出した「我伝」をおぬしだけに「直伝」しよう。ささ、一献。どうかな、我が作品のできは? 香りは? ささ、もう一献、もう一献。酔いつぶれない程度に、ぐぐぃ~と。 
なかなか骨太な酒ですな。

きょうは、これにて。次回は②で。