すーてき散人空の紙

北陸発、テキスト偏重、テーマは原則その時々、気分次第の旬刊ないし月刊、あるいはときどき不定期刊のブログです。

<span itemprop="headline">焼酎ネーミングシリーズ《27》</span>

焼酎ネーミングシリーズ《27》

ダバダ火振
高知県、無手無冠、栗)

スキャットにあらず方言だった
▽「駄場」+清流の漁法「火振」
▽駄に潜む「立派なB級」の意

●  ダバ

ダバダバダバダバダバダバダバ ウーダバダ

   てっきり、ジャズのスキャットから、膝でも揺らしながらウードゥビドゥビとノリにノッテのネーミングだと思っていた。焼酎ラベル界の新風だなと。
ところが、これが全然違うってこと、奈良の友人から知りました。

ダバは何と日本語、それ
も高知の方言で、しかも歴とした地名もあるそうだから驚き。

● 漢字で「駄場」四万十川流域の山あいの地では、人が寄り集まる平坦地を指す。山を登っていくと突然のように開ける、それが駄場なのだとか。仮にそうなら、全然「駄な場」ではないですな。

縄文の集会所・ロングハウス
 なぜならいつの世も共同社会あるいは集落にとって、人の集まる場は最も大事な場であって、例えば、北陸の縄文人は集落のほぼ中央に集落の力を結集して、集
会所でもある大型長屋《ロングハウス)を建てた。冬の豪雪時でも集まれる場を確保した。それくらいのものです、人を結ぶ場の大切さというのは。駄場は、「駄な場」にあらずなのである。

● それにしても、駄の字のイメージはよろしくありませんな。基準より下、取るに足りない等々のニュアンスがせせり出てくる。が、果たしてそうか?
例えば駄菓子。上品そうにいただくスィーツもいいが、コタツでボリボリ、机仕事の合間にポリポリが、これまたいい。
平々凡々すぎてこれまで気づきもしなかった良さ。それが「駄」の字には潜んでいる。決してA級ではないが、A級を上回る「立派なB級」が駄の意味ではなかろうか。

● ちなみに、火振(ひぶり)は、川面にたいまつの火を揺らせて鮎を誘い込む四万十川伝統の漁法とか。川の漁り火であり、集魚灯による漁だが、可能なのも透き通った清流ならでは。蔵元の名「無手無冠」(むてむか)が、余分な手を加えず何も加えないという意味なら、コンクリートの堤堰など一切無い自然のままの川にふさわしい蔵元のネーミングではありますな。

● 珍しいクリ焼酎を、今宵、駄場駄場駄場駄場、ウー駄場駄場‥‥と口ずさみながらグラスに注ぐとしようか。

きょうは、これにて。
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