すーてき散人空の紙

北陸発、テキスト偏重、テーマは原則その時々、気分次第の旬刊ないし月刊、あるいはときどき不定期刊のブログです。

<span itemprop="headline">追加 焼酎ネーミングシリーズ《25》</span>

追加 焼酎ネーミングシリーズ《25》


山乃守(長崎県壱岐島・山乃守酒造場、麦)
 


読みはモリ?カミ?、大違い
安保法でサキモリ事情様変わり
かみさん、奥さん、家内、女房‥


「守」はどう読むか。

●モリと読めば
、山の守り手、即ち自然保護指導員や国立公園の自然保護官など連想します。古代の「防人(さきもり)」からの連想でしょうな。

防人は実は古代中国の兵制からとった当て字で、和語では「崎守」でしょう。崎は陸地の先っぽで、岬、埼と同義。要は島国では崎を、つまり海岸を守ることが国を守ることだったんですな。(お門違いだが、♪おいら岬の~灯台守りは~という海上保安官の歌もありました)

往々、現代の防人と形容される自衛隊ですが、「平和安全保障法制整備法」(またの名として「戦争法案」と呼ばれる)がこのほど国会成立た。拡大解釈の末に、憲法を超えて集団的自衛権が行使できるようになっちゃった。自衛隊は今後、ときどき〝他衛隊〟になるんでしょうな。国会答弁で首相が(自衛隊のことを)不意に「我が軍は‥」とさらり言ってのけた如くに、そのうち自衛隊の名称変更法案も出て
くるかも知れませんぞ。
それにしても「平和」と冠した法案が、デモ隊に
「戦争」法案と指弾されるこの奇っ怪な現象。ブログを書いている身には、言霊がないがしろにされていると言うよりほかありませんな。どちらが本当を語り、どちらが騙っているのか、そのうち歴史が示してくれるでしょう。そういえばその昔「治安維持法」という、外見は至極全う、内実とんでもない名の法律もありましたっけ‥。


●カミと読んだ場合は。
少々の歴史好きは山乃守を、羽柴筑前守(ちくぜんのかみ)秀吉よろしく、ヤマノカミと読んでしまったんですな。実は、ずらり並んだ焼酎の棚で、「あなたにひとめぼれ」(シリーズ24参照)の隣りに山乃守のボトルがあったから……つい。ついを幸い、後半はやまのカミ連想で押しまくって
みます。

ひとめぼれ婚から○十年、あなたは妻君(古いな)をどう呼んでいます?

▲「(うちの)奥さん‥」
もとは、奥の方に控えていたから奥方。方向を示しリスペクトの念もこもっていますが、しかし、それではあなたの定位置はどこ?玄関近く? 
奥に加えてのさん付けに違和感ありますな。たとえば奥家の玄関で、奥さ~んと呼べば、姿を見せるのは夫でしょうか、妻でしょうか。

▲「女房が言うには」
平安朝文学は源氏物語の如く、もとは朝廷などに仕える女官の部屋(房)をさした言葉。部屋持ちの女官、かなりなキャリア・ウーマンを指した。しかし現代、マジで部屋持ち妻と
なったら、家庭内別居いや、家屋内別居状態と受け取られかねません。

▲「家内に…」
絵馬にある「家内安全」とは、奥様の安全を祈願すること? そんなばかな。家内諸事万端を取り仕切る意が、直接、人を指すようになったようで、ほとんど100%専業主婦の意味。もっぱら家内に居よ、となれば、女性活躍の時代とは相容れませんな。
 
▲「うちのカミさん
刑事コロンボが連発する、おなじみのフレーズ。漢字では、家をまもる守さん、畏れ多い神さん、それとも下には決して置かない上さん? ま、家内安全、家内平穏の秘
訣はカミサンにこそありと喝破した恐妻家ならではの呼び方でしょう。

▲声をひそめて「山の神
長年経ってみると、押しも押されもせぬ上下関係ができていました。何をしても敵いません。小遣いアップを申告するとき実感されます。もはや、普通の恐妻家を超えて、山麓から遙拝気分?

▲「嫁が、嫁が」
家に女性がとついでくるような形成文字。明治の家父長制度を引くような、いくら何でも相手に失礼な呼び方。ま、自ら「鬼ヨメ」を名乗って人気の元女性プロレスラー芸能人のケースもありますけど‥、一にも二にも字面が芳しくありませんな。
 
▲「妻君、細君…さいくん」
小中学校時分、男子は君、女子はさんだったから、妻に君では少々違和感。かわって細君? 昨今のさいくんは決して細くはありませんぞ。みな、ダイエット、ダイエットとつぶやいています。無頓着派も少なからずで、使いづらいですな、と。

最後に、モリかカミか、念のためラベルを仔細に確認すると、山乃守は蔵元の名でもあり、「やまのもり」でした。

きょうは、これにて。