ヤーコンの焼酎とは、これは珍しい。南米アンデス原産のキク科根菜が、一般に知られるようになってまだ20年ほど。先輩のジャガイモやトマトに比べればまだまだデビューしたてのはずなのに、はやばや焼酎登場とは。さすが健康野菜の貫禄ですな。
●●うまいがいね
(石川県野々市市、JAののいち販売、ヤーコン)
Yaconの綴りそのまま、ヤコンでは
右近の橘にならい吉祥の字で「弥近」
たまさか農協系スーパーで見つけたけれど、「うまいがいね」というネーミングは、さてどんなもんでしょう。ニュアンス微妙、以下は若干の考察…。
ケース1 ◆案外、意外
正直なところあまり期待してなかったんだよな。そもそもヤーコンなんて名前、あまり聞いたことなかったし、もちろん食べたことがない。それがいきなりヤーコン焼酎だもんな。酒としていけるんだかいけないんだか??
ん?「意外と」うまいじゃないか。この焼酎、「案外」いけるぞ。時代劇の密談セリフ風に言うと、「野々市屋(JA)、お主もなかなか≪やる≫よのう」。≪ワル≫とそしるのではないぞ、声ひそめつつもまずは称賛しているのである。お主、よくぞ焼酎にしてくれたと感謝の、ネーミング。
ケース2◆案の定、やはり
ヤーコンは、いまや金沢の隣り、野々市の特産になりつつある。農協にヤーコン部会まである。食べて体にいい食物が、焼酎にしても美味しいはず……と思いつつ、狙い定めて県外の蒸留施設に焼酎化を依頼した。恐る恐る、おっかなびっくり、いやいやまんずまんず……。
仕上がったのを口に含み舌先に転がしてみたら……。???でスタートしたけれど、!!!の出来。手前味噌ならぬ、手前焼酎でした。作った側がいうのもなんだけど、その時の感想がそのまま商品名になった。「うまいがいね」でネーミング即決したんですな。
(ほんとにホント?)
●● それにしても、ヤーコンという野菜の名のややこしさよ。「コン名前」を思いつくまま列挙してみるとー。
♪ヤーコン、ヤーコン続けて―
カーコン(車修繕カーコンビニ)、
トーコン(闘魂、あのプロレスラー)、
ノーコン(野球用語、ノーコントロール、制球難の投手)
ゼネコン(ゼネラルコントラクター、大手総合建設業)
パソコン、スパコン、ポケコン、ファミコン(コンピューター系)、
ラジコン、リモコン、エアコン(コントロール系)
ロリコン、マザコン、ファザコン(心理学用語)
シネコン(シネマ複合施設)
ツアコン(ツアーコンダクター)
合コン(婚活関連、合同コンパ)、ベーコン(食肉加工品)、ビーコン(探査用電波発信機、登山時に有効)etc
日本人はスゴイですな。なんでもかんでも4文字に短縮し、さまざまな「コン」を器用に間違えもせず使い分けている。
されど、これだけコンが多いと紛らわしいのも事実。ヤーコンと初めて聞いたとき、えっヤーサン?と思わず耳を疑いました。まさかヤーコンがアンデス原産の根菜の一種とは思いもしなかったな。
ヤーコンは「Yacon」と綴るそうだ。ならば綴りを生かし「ヤコン」としてはいかがか。商品名なら、内裏の左近の桜、右近の橘になぞらえて、漢字には弥栄を願いつつ「弥近」とあてたい。
弥は吉祥の言葉。ボトルのラベルに「弥近」とあれば、近々なんか良いことありそうな予感もしてくる。盆正月、慶事一般、ついでに健康にもいいと思うけどなぁ。
きょうは、これにて。
ポパイに、ほうれん草
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