すーてき散人空の紙

北陸発、テキスト偏重、テーマは原則その時々、気分次第の旬刊ないし月刊、あるいはときどき不定期刊のブログです。

<span itemprop="headline">焼酎ネーミングシリーズ≪30≫摩無志・のムし</span>

焼酎ネーミングシリーズ《30》摩無志・のムし

◆摩無志
(宮崎県、古澤醸造、芋)
◆のムし
(石川県、日本醗酵化成、麦)

/「摩」より「磨」の方がベター
/まむし・のむし、漫才いかが
/九州と能登の生まれの焼酎

● 摩無志と書いて、まむし、つまり蝮のことかい? では
、のむしって一体何だい?
 まむしがいくら毒蛇でも、酒に姿を変えたのなら「俺はまむしを飲むし…、絶対に呑むし…」、のむしだって? まるっきり金沢弁で意思表明ときたな。
しかし、まむしのむし、語呂がいいな、即コンビで採用しよう。

● で、俺の名はまむし、相方はのむし。蔵元には無断で漫才のコンビを組んでみる。本名の摩無志、のムしはこの際、休憩願って、オールひらがなで迫ってみるか。いずれ、漫才グランプリMー1にも絶対出るし‥。蛇毒の
効き目ありすぎて一発でチャンプになれるか‥も。

以下、しばし漫談調。

 ■ま■ 俺たちなんかより、大先輩の毒蝮三太夫さんだよ。立川談志師匠が亡くなったときぽろぽろ泣いたんだってさ。落語界の奇才、天才、風雲児といわれた師匠が名付け親だったもんな。
 ■の■ 最初、名前が決まったとき心中かなり複雑だったら
しいよ。芸名とはいえ常識外の名前、親にも言えないと思ったはず。
 あの「ウルトラマン」の、正義感の強いアラシ隊員が、お笑い界に入ったら、姓は毒蝮、名は三太夫(さんだゆう)だもんな。僕なら、もっとほかの名前をと抵抗するし、同情もしちゃいます。

 ■ま■ 毒蝮さんがテレビ番組「たまむすび」でインタビュー(聞き手・ピエール瀧さん)に語っ
たところによると、二人は同い年で親友。談志師匠がいつまでも俳優というわけでもなかろうとお笑いに誘った。で、師匠が企画し司会もしていた番組「笑点」の座布団運びを始めたんだってさ。あのいかつい体格、風貌で。これが、アンバランスが受けた。
 ■の■ ほんと世の中は不可解にして素晴らしいぜ、と僕は思う。以後、仕事が途切れなかったというんだから。俳優のほかにタレント、ラジオのパーソナリティなども。常識外れでアナクロニズムな芸名と、何を言っても許される特異なキャラクターのおかげでしょうな、ひとえに。

 ■ま■ 面と向かって、ジジイだのババアだの、早くくたばってしまえだの、よく言えるなと思う
罵詈雑言を並べても、爆笑に包まれる人気っぷり。俺は思うよ。毒蝮三太夫という名前とキャラクター、ありゃ、まごうかたなきお年寄りのアイドルだな、ウン。
 ■の■ ただね、談志師匠はさっさと改名すると思って

たらしい。ところが、ずっと〝後生大事に〟毒蝮三太夫のまま。とうとう、師匠は、俺の最高傑作作品は「毒蝮三太夫」だと言ったそうだ。まんま、立川流落語の世界みたいだと申し上げたいな、うん。
 ネーミングの難しさ、付ける方も付けられる方も、周囲もハッピーになる「いいネーミング」だったな。
 ところで、僕たちは親友か?商売の相方か。阿吽の呼吸まで行けるかな?

 ■ま■ はあ? それは今後の精進次第だろう。
南九州と能登、「良い腐れ縁」にはなりたいな。いい具合にまとまった。これでいいだろ?


ここで、漫談調を停止して、肝心のネーミングの由来。
 「摩無志」は、「己をみがき無となって焼酎造りの志を貫く」という真摯な意思表明だそう。
蛇足ながら厳密な字義からは「摩」よりも「磨」の方が適切と思いますよ。
 一方の「のムし」は、「のとのムギしょうちゅう」から頭3字を取って並べたとか。失礼ながらスカッと適当、単純明快なネーミングですな。およそ正反対ですな。


 南九州と能登が、金沢のたまさか同じ店舗で、たまさか陳列棚を同じくした。数奇な縁です。おそらく結んだ直線距離のほぼ真ん中は、四国・高知は「大歩危小歩危(おおぼけこぼけ)」渓谷、駅名で言うなら土佐山田駅あたりではなかろうか。
遠距離の友好関係維持は難しいとは思うが、何より渓谷名が示唆していますな。おおボケ・こボケの、阿吽の呼吸よろしきコンビであってほしいとー。

きょうはこれにて。
  ポパイに、ほうれん草
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