すーてき散人空の紙

北陸発、テキスト偏重、テーマは原則その時々、気分次第の旬刊ないし月刊、あるいはときどき不定期刊のブログです。

<span itemprop="headline">追加 焼酎ネーミング《24》あなたにひとめぼれ</span>

追加 どうにも熱い、焼酎ネーミング《24》

◆あなたに ひとめぼれ◆
(宮崎県・都城酒造、芋)



●マス狙いより一人狙いの商標
●神秘の脳内作用「ビビビ‥婚」
●明治の気分、恋愛至上主義


● いきなり「あなたに ひとめぼれ」ですか。ど真ん中、直球ですな。ま、市場でそれな

りの地歩を占めようと思うなら、いきなりマスを狙っても詮ない話。まずは一人一人コツコツと確実な顧客獲得から。ネーミングの理由、分からないでもありません。

● ちょっと
昔、「ひとめぼれ+スピード婚」の意味で、ビビビ婚という言葉が流行りました。元アイドル歌手が再婚相手について問われ、「ビビビッと来たから」と答えたのが由来。人の神経回路は微弱な電気信号、電流によって伝達されていくそうだから、ビビビ表現はあながち間違いではない。
 そうか、一目で電気信号が走ったのかー。
 

● ビビビと来たのが、もし片方だけなら、生物行動で言えば、色鮮やかな孔雀や鴛鴦(オス)のような、自己アピールと求愛活動が長引きますな。相手がこちらの気持ちを察してくれるまで、応えてくれるまで、かなり懸命の活動が必要です。もっとも普通は片方ビビビは、さざ波のように消えて
いくのみ、忘れていくのみなのですが。
 してみると、双方ビビビは、片方ビビビによる求愛期間をエコノミックに短縮してくれる、神秘的な脳内作用といえそうですな。
 
● たとえば、大きな交差点の雑踏の中で、すれ違いざま何かしら感じ、振り返ってみたら、相手も振り返っていたーとこう聞くと、世間にはビビビを感得できる類い稀な「アンテナ」が備わっている人がいるらしい。一方でそんな経験の無い人。
天上界の神は、恋愛アンテナの備わっている人と、備わっていない人を峻別しているようで、備わっている人がうらやましい限りです。

罪作りなテレビCM

● その昔、「25歳はお肌の曲がり角」という化粧品のテレビCMがありました。東京五輪前後のテレビ普及ピークのころのことで、CMが広汎に浸透し、ために25歳が未婚・既婚のボーダーラインと認知されてしまったんですな、社会的に。
今思うと、罪作りな広告でしたな。娘さんたちはかなり焦り、そうして、お見合い写真を携えた世話好きな、お節介な、しかしありがたいおばさんが西に東に活躍したのです。
昨今はそんなボーダーラインは雲散霧消して、いわば結婚したときが結婚適期となり、結婚形態も多様化しましたな。何しろ、夫婦別姓まで論議される時代ですから。


● と、ここまで書いてきて、明治元年生まれの作家、北村透谷の恋愛至上主義を思い出しましたな。人生最大の価値は恋愛にあると喝破した人であり、透谷はさぞかし感度の良好なアンテナを備えた、双方ビビビの醍醐味を熟知した人だったに違いありません。明治の気分を体現した恋愛先駆者ならではの言葉と推察します。ちなみに「ビビビ婚」の元アイドル歌手、その後、再々婚したとか。神経回路の電気信号はさほど長持ちしないようです。

見目ぼれ、嫁ぼれはいかが?
● つまるところ、一目惚れよりは、見目麗しく三目惚れ、あるいは、演歌の「嫁に来ないか~」よろしく四目惚れ。酒も恋愛も、じわりじっくり醸成期間の永い方がよろしいのかな。


きょうは、これにて。
次回シリーズ25は、関連ありそうな「山乃守」について。