すーてき散人空の紙

北陸発、テキスト偏重、テーマは原則その時々、気分次第の旬刊ないし月刊、あるいはときどき不定期刊のブログです。

<span itemprop="headline">新年 ジンジャージンジャ</span>

◆初詣はジンジャージンジャ
◆全国無二「はじかみ神社」


 不謹慎にも英和チャンポンで、しかもカタカナ表記すると、語感のノリがすこぶる良い。ジンジャージンジャ。祭神は生姜《しょうが》であるという、おそらく全国無二の

神社。それが金沢市の郊外、森本地区にあるんですな。

正式には、「波自加弥《はじかみ》神社」という。
古くは生姜のことをはじかみと呼んだ。この社の名は、平安中期の延喜《えんぎ》式神名帳に搭載さ
れているから、古代から由緒ある神社だったのである。縁起を同神社の冊子にひもとくと、奈良時代の干ばつ、飢饉にさかのぼるというから、星霜1300年になんなんとする古社中の古社なのである。 ひらがな「み」のもとになった万葉かなは「美」なのだが、この神社の名は上記のとおり、弥生、弥栄の「弥」である。意味は、植物が一斉に芽吹く春弥生、ますますいよいよの繁栄を願う弥栄(いやさか)。この社の名には、圧倒的少数派の「弥」(み)が使われているのである。
 なるほど、こちらの方が、より社名にふさわしいかもしれない。

 これまでジンジャージンジャには、2、3度初詣に出かけているが、初めて「はじかみ大祭」(6月
15日)に出かけた際には目を丸くした。
拝殿には高知、愛知両県産の特大サイズの生姜の現物のほか、さまざまな香辛料、食品、漬け物や菓子の類いまでが、そしてレトルトパック食品までが三宝に載って拝殿に並べられていたのである。
奉納した企業名一
覧にもびっくり。地元北陸のほか、テレビCMでおなじみの食品関連業界の有力企業の名がずらり。まるで、「はじかみ」に発した食品業界 の発展の来し方を一覧するような…ありがたさであった。

 丘の上の小さな、しかし、参拝者は全国区の社。どうやら、「オンリーワン」の強みというものは、神社の世界にも言えるらしい。ただただ祭神=生姜に感謝し、ひいては食の業の発展を願う。この〝一点特化〟
が、連綿と全国区の参拝をたぐり寄せてきたのではなかろうか。

 境内ではじかみはじかみ…とつぶやいていると、食べられるのか食べられないのか、おそるおそる「端っこ」を「噛んでみる」飢饉さなかの古代人の冒険に似たが想像できた。加賀藩舞台の映画『武士の献立』が公開されているが、当然、包丁侍たちも美味探求へ「はじかみ祈願」に訪れていたに違いない。
食いしん坊、グルメには実に味わい深く、有り難い神社ではありました。
参拝お奨めであります。

きょうは、これにて。

(写真ははじかみ大祭。金沢市二日市町ヌ131)