すーてき散人空の紙

北陸発、テキスト偏重、テーマは原則その時々、気分次第の旬刊ないし月刊、あるいはときどき不定期刊のブログです。

<span itemprop="headline">新確認浮遊物体の正体は</span>

◆「新確認浮遊物体」◆

  ちょっとの時間ウオーキングをと金沢市民芸術村広場に立ち寄ったら、未確認飛行物体(UFO)ならぬ、私流に言えば 「新確認浮遊物体」(略してNFO)に出合った。同じF でも前者のfly(飛行)に対し、後者はfloat(浮遊)。イメージが同じようで随分、いや多少、あるいは少々、違うんですな。

駐車場で車の荷室から異なものを取り出す人がいて、思わず「何それ?」と声をかけた。プロペラが六つも付いている。複数付いているからマルチコプターといい、6つだから厳密にはヘキサコプターだそう。小型ムービーカメラを搭載し、動力源はリチウム電池。何ならGPS(地球規模測位システム)搭載もできる。実はまだ登場して間もない高性能の可搬型多翼無線操縦撮影マシーンなのだ。15字か、ちょっと長いな。

河北潟干拓地や立山山麓で、翼長2㍍ほどの、農薬撒布する無線操縦小型セスナ機を見たことがあるが、動力は小さなガソリンエンジンだった。当然、爆音と白煙がつきものだった。こちらは無音無煙。余談をもうひとつ。高視聴率を記録した連続テレビ小説あまちゃん』のオープニング映像は、マルチコプターによる初の成功例なのだとか。確かに普通のヘリでは風圧が強すぎて、防波堤を走る主人公のあのような笑顔はとうてい撮れまい。

試験操縦に訪れたのは、CM製作への導入を図る白山市徳光町、脇内良輔さん。管理事務所の許可を得ていよいよ開始。
目をこらしていると、プロペラの高回転とともに音もなくふわりと浮かび上がったかと思うと、しばし背丈くらいの高さでホバリング(空中停止)。さらに無音のまま、見る間にぐんぐん上昇し、停止し、いったん下降して、また上昇して青空へ、青空へと吸い込まれていく。やがて機影は点に。「機体を見失っても困るので、高度は300から500㍍くらいで」。横方向には小さな機体をちょいと傾けて右に左に、前に後ろに。新確認浮遊物体は脇内さんの手元から発せられる電波を受けて、空中を自在に動き回る。

狙いは、CM映像に、手軽に低コストで上空からのアングルを得ること。ヘリコプター実機を飛ばすより、上空映像にかかるコストが大幅に低減されることで、このマシーンによる新規市場、新規分野の開拓がこれから始まる。新規分野は防災、山林火災、山岳救助に応用が可能だろう。
たとえば、GPSを搭載して山小屋から飛ばせば遭難現場・要救助者捜索、現在位置特定に貢献大だ。リアルタイムでパソコンで受像できればより的確な判断形成にもつながる。

内灘海岸では飛ばしてみた。次は立山で実施したい」と脇内さん。郷土北陸の、遊弋する鳥が見るような四季の映像が、やがて当たり前のようにテレビに登場してくる。そんな時代の到来ですな。
きょうは、これにて。
(写真は金沢市民芸術村広場

で)