すーてき散人空の紙

北陸発、テキスト偏重、テーマは原則その時々、気分次第の旬刊ないし月刊、あるいはときどき不定期刊のブログです。

<span itemprop="headline">どうにも熱い、焼酎ネーミング シリーズ7</span>

連想が連想を呼ぶ焼酎の名前シリーズ 第7弾

人の口に繰り返し何度も上るうち、発音が「ん」「っ」「ゃ、ゅ、ょ」に変わったりします。音の転化ですな。
ニックネームに典型的で、長年親しまれてきた証といえます。第7弾は、発音の転化の妙にも、そこはかとなく味わいがある「今も昔も焼酎は、西、岩倉 月の中」と、「二階堂 吉四六」について。

既掲載は
 (シリーズ6、虎の涙、蔵人の戯れ)
(シリーズ5、いも神、元祖やきいも)
(シリーズ4、魔女からの贈りもの 魔法のくちづけ◆うわさのいい夫婦)
(シリーズ3
百年の孤独、問わず語らず名も無き焼酎)
(シリーズ2、銀座のすずめ、とんぼの昼寝)
(シリーズ1で、六地蔵の夜仕事、我伝直伝)





老舗の味わい「じわ段の法則」で
銘柄は長い文章、読点入り
◆今も昔も焼酎は、西都、岩倉 月の中◆
(宮崎・岩倉酒造場、芋)

末尾に「。」(句点)こそないものの、「、」(読点)入りの
文章になっています。
焼酎の名前「月の中」だけじゃ物足りす、エ~イめんどうだ、とばかりに、宣伝文をそのままラベルにしちゃったぞ、みたいな剛胆さがありますな。
ラベルの字は決して上手ではないけれど、読めば読むほど、筆致をなぞればなぞるほど、味が出てくる、訴えてくるものがある。こういうのを、ヘタウマと言う

のでしょう。一見ヘタ、見るたび段々じわじわと、ウマイナと感じ入る。略して、「じわ段の法則」と申します。

西都市、岩倉酒造場、「月の中」と3点セットで、長年、親しまれてきた老舗と推察しま
す。シュロ縄で口を巻いた大徳利を提げて酒を買いに行っていただろう遠い曾祖父母の頃から、ずーっと今も。
屋号入りの大徳利か、いいな。博物館入りだな、今となっては。ディスカウントストア
の大きなペットボトル入りでは、所詮、絵になりませんから。

あっ、一番大事なこと忘れてました。「月の中」はルビが振ってあって、「つきんなか」と読むそうです。長年のうちに、「の」が「ん」と発音されるようになる、転化の妙ですな。

北陸にもありますよ、「の」から「ん」への転化。
富山県剱岳の麓、上市町の霊水も「穴の谷」と書いて「あなんたん」と読みます(「に」も転化)。なにしろ、富士山の麓、富士吉田市から、小型バスにたくさんのポリタンクを積んでやってきた家族親戚一行
と、あなんたん駐車場で出会ったことがあります。年に一度の〈霊水汲み+北陸旅行〉が楽しみと話していましたっけ。それほど熱い、あなんたんファンもいるのです。

「の」から「ん」へ、人口に膾炙するまで、どれほどの年月がかかるのでしょう。
焼酎は「つきんなか」、名水は「あなんたん」。いい具合にそろいました。



民話の主人公! お湯割り比率?
55比率も捨てがたい
吉四六
(大分・二階堂酒造、麦)

きちよむが促音化、拗音化し、縮まって「きっちょむ」。人の名前なら転化の妙は、なおのこと進みます。

吉四六とは頓智(とんち)の利いた大分民話の主人公の名前だそうです。しかし、ある人曰く、「まぁ、それもいいが、実は吉四六は焼酎と湯の比率を説明したものなのだ」と。四六の比率で割って飲めば「吉」が
来るというのだ。(うっそ~)

  焼酎が4でお湯が6か、逆にお湯が4で焼酎が6か、その人に問うと、「どっちがどっちでも良い。とにかく4:6なら吉なのだ」と。どうやら〈吉四六=きちよぶ〉とルビを振りたいらしい。なるほど、たどり着いた一つの推論、結論ではある。(うっそ~)
吉四六大分麦焼酎の代表的な銘柄のひとつであり、46比率のことなど「ほんまかいな?」、と首を傾げつつ、実を言うと、私、冬はもっぱら比率・吉四六の恩恵にあずかっています。


焼酎で晩酌するときは、きっちょむきっちょむと唱えながら、その日の体調に応じて46比を使い分けているのです(ほんと!)。

ひょっとして、吉四六は、お湯割りの黄金律というべきかも知れません。


ちょっと濃いめ、ちょっと薄め。吉四六の加減

(抑揚をつけて、いい調子で)

でも、焼酎5湯5の、半々もいいんでないかい? 背番号55、元ヤンキースゴジラ松井秀喜さん(北陸・石川県出身)がいたからこそ、金沢発のゴーゴーカレーが国内、海外で店舗数拡大の躍進を見せている。これ、55の大恩でないの? 

55あったればこその〝金沢カレー行け行けゴーゴー〟でしょう。北陸発の「55割」も捨てがたいですな。
吉四六にプラスして、55割もメモしておこう。

きょうは、これにて。次回、シリーズ8で。