すーてき散人空の紙

北陸発、テキスト偏重、テーマは原則その時々、気分次第の旬刊ないし月刊、あるいはときどき不定期刊のブログです。

<span itemprop="headline">どうにも熱い、焼酎ネーミング シリーズ5</span>

 連想が連想を呼ぶ焼酎の名前シリーズ 第5弾
芋焼酎は一にも二にも素材の芋が決め手。イモの風味如何が焼酎の出来具合を左右し、したがって、最近の言葉で言えば、蔵人にとってイモはリスペクトの対象になってきます。尾や頭に神だの、元祖など付けて奉られ、他の追随を許さない気風が漂います。

第5弾は、◆いも神◆元祖やきいも◆についてー。

既掲載は、 
(シリーズ4、魔女からの贈りもの 魔法のくちづけ◆うわさのいい夫婦)
(シリーズ3、百年の孤独、問わず語らず名も無き焼酎)
(シリーズ2、銀座のすずめ、とんぼの昼寝)
(シリーズ1で、六地蔵の夜仕事、我伝直伝)



迷わず、芋を神様と崇めたい
3度のうなづき楽しめます
◆いも神◆
(鹿児島・神酒造)

いもの神様ですか。畏れ多くも切れ味鋭い、直截なひと言ですな。
いい芋焼酎はまさにイモ次第。であれば、イモが神様と映っても、イモを神様と崇めても何ら不思議はありません。信あれば迷うことなし、です。うなづけるところ大、
ですな。河川の清冽な水流のほとりに、
その恩恵に感謝する水神の碑を見つけるのと、ほぼ同じでことでしょう。うなづきの1回目。

ただし、「いも神」と聞いて、これが焼酎のことと分かる人はよほどの焼酎通か、もしくは南九州をフィールドにする呑んべい(リスペクトを込めて!)ですな。「あそこの蔵なら、(そのネーミング)さもありなん」と、感銘するに違いありません。
 
…などと思いつつ、ラベルを90度ほど回転させると、蔵元は「神酒造」とあった。
えっ、神酒造?! 蔵元の名前が神の一字なんですか?。そうすると何、ラベルの意味は「いも(焼酎)なら神酒造」ということ??! どうやら、当たらずといえども遠からずのようです。
う~む、ここで今度は、吐息とともに大きめのうなづきを。ふ~む。つごう二
つ目のうなづきですな。
 
  うなづきついでに尋ねますが、うなづきという地名を知ってますか? 北陸・富山を代表する温泉地、宇奈月(うなづき)温泉のこと。平成の合併により住所表記は、「下新川郡宇奈月町宇奈月温泉」から、「黒部市宇奈月温泉」に変わりました。
石原裕次郎三船敏郎の映画「黒部の太陽」で世間に周知の黒部と、宇奈月のタッグが、たった一行の住所表記で実現したのです。知名度もさらにアップしたはず(?)の、名湯です。来春、北陸新幹線に新駅「黒部宇奈月温泉駅」も登場してきます、おいでください。

 宇奈月の名湯につかりながら、いも神さまを鼻先に。湯煙の中のい~い香りに、きっとあなたもうなづくことでしょう。結果的にしめて3度の「うなづき」が楽しめる、そんなネーミングがいも神です。


香りの誘客力、威力を再認識
本家、本舗、宗家の追随許さず
◆元祖やきいも◆
(鹿児島・鹿児島酒造)

棚にわざわざ「これはお酒です」と張り紙がしてあった。〝焼き芋の液体エキス〟と間違えて買っていかないよう、間違えて子供のコップに入れないよう注意喚起です。


 サツマイモは焼き芋で評価されるそうです。焼き芋にすると、香りは一段と増幅されるからでしょうな。
近年、スーパーの店頭、それも出入り口に、焼き芋機械を置いたコーナーがあって、紙袋入りで焼き芋が売っています。買い物客のほとんど大半を占める女性を、店頭から店内へと誘う、こころにくい配置、さすがの演出です。ロマンチックにいえば夜の漆黒の海に揺らめく漁り火、もしくは集魚灯、現実に戻るとヤキトリ、ウナギ蒲焼きの店頭からなびいてくる煙とよく似ていますな。このネーミングに焼き芋の香りの誘客力、香りの威力を再認識しましょう。

焼き芋にして、初めてイモとしての評価が得られるのであれば、焼きいもから醸造してみせましょう、蒸留してみせましょうぞー。すごい意気込みうかがえる「元祖やきいも」のネーミングは、「美香追求」の結果を、芋焼酎づくりに懸けた矜恃ととも
に表しています。本家だの、本舗だの、宗家だの、追随を許さない迫力まで感じ取ることができます。

  今宵の焼きいも賞味は、焼酎「元祖やきいも」でいかがでしょう?。
ただし、奥さん方、キッチンドリンカーはいけません。
やめられない、とめられないはえびせんべいだけにしましょう。ダイエットの食前酒に、ほんの一口、軽ーくいただくくらいがちょうどいいのではないでしょうか。仕入れてきたバイヤーも、販売員もそう願っているはずです。
くれぐれも、香りの誘惑に負けてはいけません、くれぐれも。

きょうは、これにて。次回、シリーズ6にて。