すーてき散人空の紙

北陸発、テキスト偏重、テーマは原則その時々、気分次第の旬刊ないし月刊、あるいはときどき不定期刊のブログです。

<span itemprop="headline">番外 正立と倒立、リバーシブル彫刻</span>

◇融通無碍、リバーシブル彫刻
◇正立と倒立で作品タイトル変え


奈良公園なら燈花会に参加の際は、逆さに立てて『天地相聞歌』
、「石川

の石を彫ろう会」の彫刻展では、当初に予定していたタイトルで『G線上の結々(ゆいゆい)』
同一の作品に対して、倒立の場合と正立の場合とで作品名を変えました……。抽象彫刻ならではの融通無碍であり、こういうのをリバーシブル彫刻とでも言うのでしょうか。

●予期せぬ展開でしたな。石彫り場で遠目に眺めては彫り、彫っては眺めていると、周りから逆さにしてみたら
と≪逆立ちの奨め≫があり、いざ実際に支えの心棒が通ってみると…。台座の上で見事逆立ちに成功。この姿が案外いいんですな、加賀鳶の梯子乗りの妙技みたいで。当の石もさぞビックリに違いない。で、万葉の歌よろしく奈良向けタイトル「天地相聞歌」とした次第。
奈良公園の一角でひそやかにぼやき漫才が聞こえてくる。

●天:おーい地よ、景色が突然逆転したけど、大丈夫か〜 元気でいるか~?
地:大丈夫だぁ〜、めまいがすらぁ、三半規管が面食らってら

ぁ。そっちはどないだ〜
天:かなわんな、こな
いなこと事前協議の対象やで~、われわれに対して説明責任があるはずやけどな
地:まぁ、
そない怒るな、血圧上がるぞ、血圧上がったらろくなことないぞ、いっぺん懲りとるやろ、まぁまぁ抑えて抑えて。

万葉の地で、石川産の石、滝ケ原石の堂々巡りの問答ならぬ、ぼやきが続いたとかや。

●もうひと
つのタイトル「G線上の結々」も解題する。
何しろ、「結」は、「石川の石を彫ろう会」の発足20周年の共通テーマだった。あだや疎かにはできないのだ。

さて、GGと書いてジージー、爺々と読む。つまり昨今ではGは好々爺世代、シニア世代を意味する表象らしい。
幼少よりさまざまな人と出会い、無数の結い=縁を紡いできた。仏の教えに「結縁(けちえん)」という言葉もある。結の一本の線は、時に右へ時に左へ、上り下り、行きつ戻りつ、さながら山の稜線をたど
るように時に分岐を繰り返してきた。そして不思議なことに還暦過ぎても、老いてもなお、新たな出会いがある。
であれば、人の一生は、結いの稜線を歩んで行くが如しなんですな。その足元おぼつかなさは、エッジの赤い線の意味するところです。

●「G線ー」はもちろんバッハの名曲タイトルのもじり。しかし、それにしても、なんか大阪道頓堀の、一粒で二度おいしい、みたいだな。リバーシブル彫刻などとは、少々遊びすぎでしたな
。自戒自重。

きょうは、これにて。
ポパイに、ほうれん草
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(了)