すーてき散人空の紙

北陸発、テキスト偏重、テーマは原則その時々、気分次第の旬刊ないし月刊、あるいはときどき不定期刊のブログです。

焼酎ネーミングシリーズ≪46≫ ど黒

焼酎ネーミングシリーズ≪46≫
◇ど黒(佐賀県、光武酒造場、芋)

〇骨ヘン旧字の凄み髑髏杯

〇隠し通せぬ「真っ黒」もある

ど黒? どくろ! 髑髏ですか!
ついに出て来ましたか。久しく忘れていた、凶々しい単語。よりによって、この焼酎ネーミングシリーズに登場ですか。かないまへんな。
ラベル(写真)を見ると、黒の字は愛嬌のあるどくろの象形文字風で、憎めない感じがするのに。
 そもそも、♪ほねほねロック~と歌うのはかわいげがあった。が、漢字で骨となると俄然、状況が変わってきますな。
 ほねほねからスタートして、
 ♪骨まで~骨まで愛して~ときた日には、眉に唾つけ、演歌の情緒もへったくれもないなと。それが大ヒットしたから、世間は摩訶不思議と痛感したもんです。
 時の
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総理大臣が国会で、「骨太の方針」を連発した時には、赤じゅうたんで骨? 国会には国会の品格があろうに、ほかに言葉はなかったの? 政権替われど引き継がれて今も国会中継で耳にする。市井どころか施政の用語として、骨太は定着したようですな。
 
 まっ、骨ヘンよりはいいか。
 かつて体育は「體育」と書いた。「骨
豊か」という会意文字が「体」であるとは。まるで“骨肉相食んだ”その結果を指しているようで、いささか滑稽でもあります。から
だとは「人の本(もと)なり」の方が的を射てますな。
 これが骨ヘンの二字続き、「髑髏」となるとー。
おどろおどろしい「髑髏杯」にたどり着く。
 敵将の頭蓋骨を金泥を漆で塗り固め、酒器として織田信長は酒宴で披露した。『信長公記』などによると浅井長政朝倉義景ら三人の首。画数の多い骨ヘン旧字、髑髏の凄みがすごい。対立すれば果ては髑髏杯か。家臣は忠義を尽くすのみですな。
 ヨーロッパでは酒器のほか、ボールがわりにもなった。一説にサッカーの起源は兵士がつかの間しゃれこうべ(晒れ頭)を蹴って遊んだことからとか。単純明快な本能の競技ゆえに、サッカーは戦争代替のスポーツと言われるのでしょうな。
 
 さて本題の「ど黒」について。
 数十回にわたりこの焼酎ネーミングシリーズを、コツコツと書いてきたおかげですぐ分かりましたな。
 ハイ、「ど黒」は黒麹仕込みの芋焼酎をアピールするあまりの名付けであると。♪ド~はど真ん中のど~の要領で、黒も黒、真正の黒がど黒。何しろ昨今は白麹よりも黄麹よりも黒麹が人気ですから。
 ちなみに、かけ・もり財務省答弁、日大反則タックル会見などは、「ど黒」ではなく、「真っ黒」の範疇と思われます。白地で隠そうにもその下に真っ黒が透けて見えますと。
 それにしても「とりあえず否認」事件が多くなりましたな。偉い層ほどそう。道徳上「どえらい」ことですぞ。ど黒ボトルを眺めつつ。
 きょうはこれにて。
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<span itemprop="headline">焼酎ネーミングシリーズ≪45≫ 蟇目、夢想仙楽</span>

蟇目
(鹿児島県、さつま無双、芋)

否が応でも、逆に注目
由緒正しき、弓道神事

● だでさえ読めぬ字が、斜めにゆがめて書いてあるから、「これは何か、模様か?」「なんという字だ?」という仕儀となる。その分、逆に注目してしまう。否が応でもボトルを手に取ってもらおう、そういうネーミングですな。

 ヒキガエ

ルは「ひき蛙」と書くものと思っていたのに、「蟇(ひき)」の一字があったなんて…知りませなんだ。ならば今後は、小さなカエルには「蛙」大きなカエルには「蟇」をあてようと思う。

● さはあれど「蟇」、とても嗜好品の名に当てる漢字とは思えません。ガマガエルやヒキガエルの風貌、闇夜の鳴き声を想像しただけで脳の摂食中枢が拒否反応を示しそう……。酒の売り上げに寄与する字とはとても思えませんな、ヒキはヒキでも「どん引き」のひき?

 蟇の字面も芳しくない。同じ部首の「墓」の字がついてくる。「ゲゲゲの鬼太郎」の当初のタイトルは「墓
場の鬼太郎だったそうだし。であれば、墓場に棲息する大きな虫の代表が、蟇ということか知らん?

● ただ、唯一の救いは焼酎の名が「蟇目」(ひきめ)であること。蟇目となると、これは俄然、白昼、正々堂々と見得を切って登場してきていい。なにしろ、古武道の一つ、弓道界に由緒正しき、蟇目の神事がある。

 矢の先端に小さな蕪ようのものをつけた鏑矢(かぶらや)。正面から見ると空気を通す小さな穴が二つ通っていて、これが蟇の目ん玉のように見えるから「蟇目」。
 なぜ穴が貫通してい
るのか。いろいろ調べてみるに、放たれた矢の直進性確保のためはもちろん、それ以上に大事なのが、穴の気道通過により空気の振動音を発生せさせるのだとか。ビーン?orブーン?。
 敵方小舟の上の扇めがけて、那須与一の射た鏑矢も、源平両軍に聞こえよとばかり音響かせて飛んだに違いない。つまり、蟇目は鏑矢のおかげで、由緒正しきハレの言葉となったと言っていい。鏑矢の形が今に残る由縁でもある。

 蟇……味方に付ければ実に心強い生き物らしい。蟇に乗った石川五右衛門が火遁の術で証明している、講談の世界ではあるが。では、この段、ここらで幕引き。



◇夢想仙楽
(福岡県、光酒造、麦)



ああ、これすべて一酔夢譚
唐に渡った梅花の王の想い

● 何からなにまで、“唐チック”。四字熟語になっている焼酎の名から、ボトルを包む古
色の絵柄、その人物の衣裳、そして五言絶句の漢詩まで、強く「唐風」が意識されてますな。ちらちら眺めれば、ほんと唐詩選の一つかと思ってしまいます。

渡唐梅花王

文化越波涛
夢想仙楽酒
西都太宰府

● この4行だけでは、脳裏に情景描けず、あまりに情報不足なので、ボトルの裏あ
たりの記述も参考にしてみたものの、それでもまだまだ…。で、時制を度外視して、かなりの勝手な拡大解釈、想像的解釈をしてみた。

かつてはるばる唐に渡った梅花の王ありました
文化というもの、無尽の波頭を越えて伝播する
人の世に夢に想い焦れた酒あり、酒を得て仙境を楽しみ、楽しんだ
ああ、唐でも京でもなかった、ここは西都太宰府だったーー。

● 蔵元は九州・福岡にあり、今も昔も西都・太宰府と口をついて出る。
太宰府とくれば菅原道真、道真と来れば「東風吹かば匂い起こせよ梅の花 主なしとて春な忘れそ」。政争に敗れ左遷されたとはいえ、京の都へ恨みも未練も募る。そんな地の梅花の思いは遥か、大陸の唐へも飛び、彼の地の仙境に遊び、「仙薬」を得てつかのま仙術を楽しむ。
夢うつつ、これすべて一酔夢譚というべきかー。

さて、夢想仙楽、丹精した麦焼酎を、はるばる輸入したスペイン産シェリー酒の樽に五年貯蔵したとか。
東風吹かば 匂い起こせよ 梅の花〜〜
西風吹かば 香り来たれよ シェリーの香〜〜
かくて、洋の東西をワープの心地ぞする?

きょうはこれにて。
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<span itemprop="headline">焼酎ネーミングシリーズ《44》 良い夜サ酔い夜サ、のみよし </span>

 芋焼酎といえば、なんといってもまずはサツマイモだが、やはり娑婆は広い。北陸にはなんと、意外にも里いも焼酎があり、さらには稀少な丸いも焼酎まである…。

 ◆良い夜サ酔い夜サ
富山県南砺市、里芋、玉泉堂酒造)

♪ヨイヤサ ♪ヨイヤサ
遠くから段々、祭りの声が近づいてくらぁ
♪ヨイヤサ ヨイヤサ ♪ヨイヤサ ヨイヤサ
南砺・福野の夜高祭り

夜ふけて
灯りはあかあかと揺れを増し
曳き手にお神酒がまわるころ
下の山車がぶつかりだす
ええ、昔はなかなか物騒な祭り見物でした

そんな祭りのにぎわいを聞きながら
南砺特産を仕込んだ里いも焼酎をちびりちびり。 ♪肴はさといも田楽でいい~、
「良い夜サ、酔い夜サ」がいい~なんて。
それにしても [上手くて旨い字]を当てたもんです。

 ● ここらで祭りのかけ声の考察
東京弁にして標準語、全国共通のわっしょいわっしょいなんて、なんか薄味で物足りませんな。
その点、地方の掛け声のこくのあること。
実は、砺波、福野、庄川、津沢など、砺波平野は
そろいもそろって♪ヨイヤサ ヨイヤサ。
ヨイヤサの宝庫なのですな。
ただ、高岡伏木の「けんか山」は不思議なことに、ヨの一字抜けの
♪イヤサー イヤサー」なんですな。
富山県内の、穀倉の村々と古く舟運の町でこの違い、
どうしてこうなったのだ?

同じ行燈祭りの範疇に入る、青森ねぶた祭りの掛け声は、
つとに有名な「♪ラッセラー ラッセラー」。
まさかラッセル車とは関係ありますまい(冗談)
ラッセラーの由縁、語源知りたく思います。
と、青森ねぶた(B)と弘前ねぷた(P)、こちらの違いも謎ですな。
土着ならではの謎。作られた観光祭りもいいけれど、やはり土着の祭りの方がいい。



 ◆のみよし
(石川県能美市、宮本酒造店、丸芋)


 ♪芋にもいろいろありまして、 サツマにジャガイモ、サトのイモ〜


芋は芋でも丸芋は〜〜♪

懐かしの宴会ソング、 松ノ木小唄の替え歌にのせて
並みいるイモに負けるなとばかりに
加賀丸芋」が芋焼酎戦線に参入したとか
その風貌のたくましいこと
こぶし大ほどの丸芋はほとんどが、
ゴツンゴツンのデコンボコン
ツルッと丸いのは、稀れも稀れ。

産地は手取川扇状地、能美、小松、川北の近辺 戦国の世、柴田勝家率いる織田軍
上杉謙信の軍勢が衝突した「手取川の合戦」の一帯

川筋定まらぬ暴れ川の砂利、石ころにもまれ、
あっちに転がりこっちにぶつかり
泥土の少ない土質ゆえに「ツル丸」になる暇なんぞなかったと思われる。
山芋、自然薯を遙かにしのぐ粘性を
加賀丸芋はそうして獲得した、
そうとしか思えないのです。

デコンボコンの由縁を讃えて
実直武骨な風貌を称えて
手取川丸芋」の尊称を差し上げたいくらい。。

「のみよし」は、能美良いところのお国自慢と
呑み良いの、掛け言葉にして“盛り言葉”
に違いない。かけ+もりの忖度気分ですな。 かけ、もりは年越しそばで十分堪能しました。


 きょうはこれにて。
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 (了)

<span itemprop="headline">焼酎ネーミングシリーズ《43》 日本の夏、くじら</span>


 夏の終わりにどこの家庭でもお世話になったはずの蚊取線香を、いやいや、酒のおいしくなる秋の始まりに鯨飲(馬食)とならぬよう自戒を込めて鯨を、取り上げる。共通項は画面いっぱいの純朴なラベル絵。字が無い!

◆日本の夏焼酎
大分県、老松酒造、芋・麦)


● 
なんだこれは! こんなラベル有りか?
大事な商品をアピールする画面に描かれているのは
何の変哲もない、ごくごくありきたりの蚊取線香!、のみ!
びっくりどっきりの焼酎の“顔”である

が、上方のサブラベルをよ~く見ると
何やら字があり、「日本の夏焼酎」と。
画面の絵と、サブラベルの字。そうかそういうことか、
この判じ物、解けるには解けたけど、遊びすぎだな。

◆ 想起せよ、蚊取線香の名文句を
渦巻きが「金鳥の夏!」とほえれば
打ち上げ花火が「日本の夏!」と答える
さながら往年の歌謡曲「二人は若い」の世界ですな
♪あなたと呼べば、♪あなたと答える~~、、

ただし、往年の二人も今や老境に至れり
♪「お~い」と呼べば、♪「なにさ」と答える
ぶっきらぼうに、しかも初々しさはとうに消えた
お酒も糖質を避けて蒸留酒にシフトしたとかや、健康のため。

それにし
ても、金鳥の夏、日本の夏」とは
失礼ながら、大きく出たもんですな
わずか8字をきっちり、4字ずつに分けて
畏れ多くも畏くも……「金鳥」「日本」並立関係に。

大日本除虫菊という株式会社名は知らなくても
ドドーンと花火があがれば、
ついつい口に出る、「金鳥の夏~、日本の夏~」
けだし、稀代の名キャッチコピーですな。

鶏冠(とさか)はまぶしい金色
煙草のゴールデンバットと同じで
殺虫剤業界の金冠めざす
創業者の決意の象徴なんでしょうな。

働き者のクロアリ押しのけて
外来の厄介者こそはびこるのかな
最近の怖いものに「火蟻(ひあり)」あり、
「除虫」、殺虫の効果に期待しましょ。


◆くじらのボトル

 (鹿児島県、大海酒造、芋)

◆ いさましい+さかな=いさな。
勇魚と書いて「いさな」と読むとかや
古語で、くじら
のことである。
でも、この2字からは、海面を尾がひとたたきすれば、船の一隻や二隻はひっくりかえりそうな、海棲哺乳動物のスケールが彷彿とはしてきませんな。

一字違いの「いさざ」という小魚もいるしな。
ぴちぴち跳ねるのをいただく「躍り食い」で知られる
「いさな」と「いさざ」。

音感の似た者同士が、巨大と極小の対極とはこれいかに?

◆ 「いさな」もとい、丹精の銘柄「くじら」をアピールすべく
蔵元がラベル画面にど~んと置いたのは、ご覧の通りの絵。
歯をむき出しにして、笑っているのか、今から鯨飲(馬食)にかかるのか
あふれる茶目っ気に親近感も
湧いて、まさに “絵に勝る雄弁なし” ですな。


◆ わが国の捕鯨は、和歌山県太地町に発祥し(古式捕鯨)、
高知や山口などの“鯨どころ”も有名。
沿岸捕鯨、船団方式による遠洋捕鯨と発展、拡大した。
今は昔、あぁ球団「大洋ホエールズ」の頃が懐かしい。

 縄文の真脇遺跡は、小型鯨類のイルカ漁で繁栄した「イルカ村」だった。
大陸には陸の動物タンパクが支えた「陸の文化」があり、
海に囲まれた国には、海の動物タンパクが支えた「捕鯨の文化」があった。
陸海問わず、相互に、敬意とともに感謝せねば。


 ◆それにしても、くじらは、なぜ魚へんに京なのか
 スパコン「京(けい)」が登場してきたとき、直観しました。
億がゼロ8個、兆が12個なら、さらに上のゼロ16個、それが京であったな、と。
そうか、途方もな
いスケールが「京」なのだ。イメージ的に鯨と書く所以、わからぬでもないな。

 また、一頭とれれば、七浦を潤す。七つもの漁村を一挙に豊かにするとも。
してみると図体も恩恵も「京(けい)サイズの魚」、それが「鯨」という会意文字なのだ。
こう解釈すると、字面ひとつから世間が、社会が見えてくる。

ちなみに、(クジラ+ゴリラ)÷2=ゴジラ 。
ハリウッド映画で、MLBで、日本産の怪獣、怪物ともによくぞ活躍してくれました。記憶に新しい痛快事です。

きょうは、これにて。

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<span itemprop="headline">焼酎ネーミングシリーズ ≪42≫ 宜有千萬 感謝のきもち</span>


 ぐい呑みを手に、ふと思い出す人がある。すっかりごぶさたしているけれど、元気かな、元気でいてくれてるよな。離れて暮らす親であれば、何が何でも顔を見せに行かねば、見に行かねばと思う。特別な日もあるではないか。すーてき散人ブログ、焼酎ネーミングシリーズ第42弾は以下の2本。

◇宜有千萬(宜しく千萬有るべし)
新潟県、八海山、米)
◇感謝のきもち

(鹿児島県、濱田酒造、芋)

●数ある焼酎の中からこの2本をセットで取り上げることにしたものの、はていつのタイミングで?と考えあぐねておりました。

母の日が過ぎて、やがて父の日がやって来る。

ひょっとして、ただ今がベストタイミングでないか、とこう思い
至り、暫し、親の恩を想うこととした。
●いい塩梅に、蔵元の名を見ると、海,、浜、山の3字がある。
海深きより、浜を経て、高き山へと駆け上がる


駆けても駆けても限りなし

なるほど、親の恩はそれほど深く高いということか。末広がりの数字「八」が見守ってくれるとなれば、前途に吉兆この上なし。

良きことあまた有るようにと願い
感謝の気持ちを片時も忘れず。
●宜しく千萬有るべし●
●感謝のきもち●
人生の要諦をさらり言ってのけてますな

即ち、あなたに幸多かれと願い
即ち、我の今あるもあなたのおかげ
この要諦を忘れず日暮らしすれば
人の世を、ぎくしゃくもせず
心地よく渡っていけるーー。
きっと、誰しもの親御さんがずっと背中で示してきた言葉です。
あなたとは、この場合もちろん親のことです。
銘柄のコラボから、親の教えを抽き出して来るとは、
なかなか線いってますな

仏教の言葉に結縁(けちえん)がある。
人は生まれ、死するまで
仲間、友人、大切な人を求め、
いろんな縁を結んでいく
親の気持ちは親に成って初めてわかり
親が我に為してくれたことを
子にも為してやろうと思う
親の情の輪廻」というのでしょうな。

●さてと、素面ではとても言えないような事柄を
照れもせず綴ってきました。
同じように、親に面と向かってとても気持ちを言えない向きは、
酒の銘柄に気持ちを代弁してもらいましょう。
そうして宜有千萬と感謝の気持ちを
夫婦差し向かいで味わってもらいましょう。

●それにしても、米どころ新潟の、魚沼の
清酒の蔵元が焼酎も造るとは。
しかも正真正銘正々堂々の「粕取り」焼酎を。
焼酎と清酒の並立。
ホント、焼酎も造る清酒の蔵元が多くなりました。
酒の戦後史を象徴してますな。


きょうは、これにて。
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<span itemprop="headline">焼酎ネーミングシリーズ《41》 青酎 赤狼</span>

青に赤は付き物。ん?信号機と思ったら、脇に黄もしっかり控えてました。ほかに黒、白、紅、紫も。人生いろいろ♪焼酎もいろいろ。今回取り上げたのは、青酎と赤狼。
青酎
(東京都、青ヶ島酒造、麦)


●東京には東京産の焼酎があったとは
意外や意外、全く知りませなんだ
ふらり入った酒の量販店で、
焼酎の棚に次々目を泳がせていくと、
青地のラベルが目立ってたんだな。

●アオチュウ? 青い焼酎?
手に取ったパッケージ裏の細かい字を追うと、
醸造元、東京都だと? 青ヶ島だと??
かつて青島だぁ~とテレビ画面にせり出してくる
放送作家青島幸男都知事の時代があったけど
都には青ヶ島村もあったのか

●♪~花の東京のど真ん中~
ぐるり回るは山手線(当時・やまのてせんではなく、やまてせんと読んだ)~♪
古い流行歌を引っ張り出して恐縮だが
都心から南へ海をぽーんと一跨ぎ、
八丈島からさらに50キロを一跨ぎ
絶海の孤島が「東京都青ヶ島村である

「都」と「村」が仲良く肩組むような
住所表記わずか7字
人口160と日本最少の自治体は
郡名無用のついでに番地も不要
まさに簡にして潔、まさに絶海のあっけらかん。
島民の、島民による、島民のための焼酎が、逆方向に大海原をジャンプして
焼酎市場にせり出してきた。
ピーカンのブルースカイのような
青酎」の味はさぞかし爽快…。

●行ってみたい憧れの島がまたできた
日本最南端の島=波照間島沖縄県八重山郡竹富町波照間)
次いで、今回焼酎の銘柄から知った
日本最少人口の自治体=東京都青ヶ島村
波照間は、名前がいいよな。間(マ)は古語で小さな入江、舟の出入りできる入江を意味すると習った記憶がある。
けだし、波照間は沖縄本島から遠望しても、すなわち「果てる+間」島だったに違いない。
落語に限らず「間」がキーポイントだな。

●ついでの連想、
郵便番号は907ー1751と、100ー1701。
上3桁の900番台は九州を意味し、100番台は首都を意味する。
では共通する数字17は、離れ島の意か。鄙(ひな)と読めるな。当たらずと言えども遠からずだな、きっと。
地名と郵便番号17が誘う憧れの景色ではある。
 

◇赤狼
(宮崎県、寿海酒造、芋)



●のっけから地名談義。
北陸に「狼」そのものずばりの地名があるのをご存じか。
古くは「狼村」ったが、明治以降いくたびかの合併を経て、ただいまは富山県高岡市戸出狼である。
同県上市町出身の細川守監督のアニメ映画『おおかみこどもの雨と雪』のモチーフとなったかどうか。
なってないだろうな、聞いたこと無いしな。
上市町北アルプス剱岳」の麓の町。一方の「狼村」は、散居村で知られる砺波平野と、両者、地理的に縁遠いもんな。

●古文献をまとめた『越中史徴』には
狼が出て人を損ねた(けがをさせた)、新開し村を立てるにあたり狼を村の名にした。狼は貴き神」とある。もう一説あって「もともと大かめが棲んでいたから」、つまりオオカメがオオカミに転訛したとするのだ、???
 どちらの説を支持するか。そりゃもちろん狼説でしょ。
怖れつつも崇めるという人為のロマンがあるからな。
 加賀藩政期の村名から今は小字になったとはいえ、
絶滅したニホンオオカミを偲ばせる全国的にも稀少な地名。
けだし、「狼に勝れる地名ほかになし」なのである。

●さて、本題に戻って「赤狼」。
旧制四高出身(金沢)の作家井上靖の小説に『蒼き狼』があり、
幕内力士の名に「青狼」がある。
青狼あるなら、「赤狼」あって当然。厳密には赤狼はアメリカオオカミを指すらしいが…。
それにしても、このところの焼酎ネーミングの世界、赤に黒、黄、白そして紅、紫などと色の豊富なこと繚乱のごとし。元々の名に仕込んだ麹や原材料の芋の色をかぶせた結果、なかには???なネーミングもちらほら。
 
●たとえば「黒白波」。黒麹仕込みのさつま白波なのだが、オイオイ、黒か白かはっきりしてくれ、黒白(こくびゃく)つけてくれよと言いたいですな。どうもあの津波の色を連想してしまう。いけねぇな、よろしくない。
●たとえば黒霧島。かつての造船疑獄という言葉が浮かぶ。政界を覆う黒い霧。長期政権に利権構造…「政(まつりごと)に腐敗はつきもの」と言わざるを得ず、大型汚職事件には要注意。どうにも黒霧は歓迎されづらいな。
●たとえば黄猿。アジア系有色人種の蔑称そのものではありませんか。黒猿、赤猿、白猿とシリーズのネーミングで、黄麹使用ゆえにたまさかこうなった。理解はすれども、さてどんなもんでしょう。ロックバンド「ザ・イエロ・モンキー」の名も同様。

丹精した焼酎づくりの成果なのに、ラベルを前にしてはすんなりおいしく飲めない、はず。
絆創膏も貼りどころよ~く考えないと。
さてもネーミングは難しい。

 きょうは、これにて。
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<span itemprop="headline">焼酎ネーミングシリーズ 《40》 神虎、風龍</span>

焼酎ネーミングシリーズ 《40》

○神虎(福岡、いそのさわ、麦)
○風龍(宮崎、すき酒造、麦)

 いわゆる本格焼酎(乙類)のみを取り上げて、シリーズ40回。ざっと80数銘柄を紹介してきたでしょうか。あとしばらく、このまま気ままに駄文を重ねていこうかな、と。
今回は、どうしても野球の方に引きずられますな。
副題を付ければ、「神ってる」と「野分」。


神虎
◆  
2016年のシーズン、神がかり的な快進撃でファンを魅せたのは、池の中の鯉でしたな。緋鯉も緋鯉、真っ赤っかな鯉が水面を跳ねて叩いて。虎は全然‥‥でした。(私、虎ファンでも何でもありませんが、念のため)。


 それにしても、流行語大賞に輝いた「神ってる」
は、文法なんぞ委細かまわずの、飛び跳ねすぎの言葉でしたな。「神がかっている」を縮めたと分かっていても、端折りすぎで違和感ありあり。焼き魚を肴に焼酎を飲もうにも小骨がのどに引っかかるような、???だらけの言葉で

したな。何なら同時に「微妙に日本語逸脱大賞」を差し上げたいような‥。


 逸脱の元凶は、テレビCMでもおなじみのこのフレーズでしょうな。

・「インテル、入ってる!
何なら続けて、トントン、トントン…
・「トイレの神様、入ってる?、入ってる!」
こちらはぜひ言ってみたい、
入魂式まだだけど
・「仕事に魂、入ってる? 入ってる!」とも。


 もう少しまじめに考察してみましょう。
走る‥…走らない・走ろう、走ります、走るとき、走れば、走れ
 同様に

 神る‥…神らない・神ろう、神ります、神るとき、神れば、神れ。


 神るの五段活用だって?? かなり不自然、かなり乱調、破調ですな。未然形、連用形、連体形、仮定形、命令形いずれも、人生このかた60余年、とんと聞いたことありませんな。名詞に活用助詞を付けること自体に無理がある。
つまり、終止形「神る」ひいては「神ってる」という言葉はあり得ないということ。一見それらしいフェイクワードであると、偽造動詞であると言わざるを得ません。何事にやらず、fake はいけませんな、fakeは。


  思えば、広島カープ監督が一人の選手のあまりの絶好調を、神がかっていると言うべきところ、どうしたことか「神ってる」と言っちゃった(ーーのか、あえて言ったのか)。
インテル、入ってる」を軽く凌いだ「(鈴木)、神ってる」ーー。
 破れ傘刀舟の殺陣のごとき切れ味を見せ、破調が正調を押しのけて、ついに流行語大賞に輝いちゃったという、こういう顛末なんですな。このたった一言が、広島の球場を、セリーグを真っ赤に染め、日本全国津々浦々を席巻しちゃったのだから言葉の力ってたいしたものです。


ーーー以上、「神ってる」談義。


 ここまでまで書いてきて、初めて気付きました。
きょうのお題は、「神虎」だった。いかん、いかん、「虎」が「鯉」にやられちまった。
 2017年の球春訪れて、キャンプ真っ盛り。今年、虎は、阪神タイガース「神っ虎」になれるかどうか
。せめてなってほしいな「神ってら」に。球場が、幸福の色「黄色」に染め上がるかな? 神のみぞ知る。

 

風龍
 風龍とは、やにわに天空に風塵を巻き上げる強風のことかいな。
  連想しますな、「古典」の授業で、枕草子などにたびたび出てきた「野分」(のわき)


 「
サバンナ」のごとき広大な草の原を、まっすぐ左右に二つに分けて吹く強風。季節で言うなら、秋、二百十日のころでしょうか。空には天頂に向かう「つむじ風」(旋風)。野分は、古代のやんごとなき宮人たちには、得体の知れぬ獣、風龍と映ったに違いありません。

 要するに、野分とは、後々の外来の言葉で言うところのタイフーン、漢字をあてて台風、颱風のこと。台風よりも野分という語感にこそ、原日本の感性が息づいていると、解釈できますな。


 それにしても、野分の
字面からは、海を左右二つに分けた映画のモーゼの十戒」の、あのシーンも思い出されるんですな。野分ならぬ、海分とでも言いましょうか。やはり風は吹いていたと思いますよ。
 

◆しかし、野分よりも風龍よりも、ワタシゃ、風流がいいとな、チントンシャン。
 「野分」ついでの「風流」とくれば、もうひとつ連想を飛ばして、おわら風の盆で決まりですな。
 夏の盆ではなくて、二百十日の野分の盆。稲穂の刈り入れ済んで農家の衆の、農閑の歌、踊り。何を塞くこともない、悠々と、たゆとうように~

 唄われよ~、わしゃ、はやす~!

集落の「結」のきずなに誘われて、艶やかに続く実りの里の調べ。
二百十日はあっという間に去り、あっという間にまたやってくる。


 ◆鯉が来て、虎が来たからには、龍ドラゴンにも触れねば成らないのだろうが、セリーグの龍はここのとこ
ろてんで元気がありません。龍が竜になってます。
 龍と書けば強そう、しかし、竜とかけば、少しく愛嬌すら感じます。タツノオトシ
ゴは竜の落とし子ですからな。今年の風はどう吹くのでしょうか。
風にふかれて風まかせ? 風の向きは、神のみぞ知る?


きょうは、これにて。
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